研究概要 |
本課題では層状構造を持ち、組成の自由度の極めて高いメリライト A2MM'2X7(A = アルカリ土類金属, Eu; M,M' = 遷移金属, Si, Ge; X = O, S)を中心として、関連する低次元構造を持つ新物質の探索を行った。また、磁性を中心とした物性評価を行い、この化合物群の物性を系統的に理解する事を目的とした研究を実施した。 【Eu2MSi2O7の光学的性質】前年度に磁性を明らかにした新物質Eu2MSi2O7に対し、分光学的実験を行った。紫外-可視光拡散反射スペクトルから、バンドギャップエネルギーを決定し、励起-発光スペクトルでは、470 nm(Mg)、462, 630 nm(Mn)にピークを観測した。第一原理計算と実験結果との比較検討より、観測された挙動について理論的な観点からも明らかにした。 【PbMn2Ni6Te3O18型化合物の磁気的性質】磁性イオン(M)の一次元鎖を持つPbMn2M6Te3O18の新規合成に成功し、その構造を明らかにした。また、磁化率測定の結果、低次元系特有なブロードな磁気異常を示すことを見出し、理論的な一次元交替差モデルにより説明できることを明らかにした。 【Ln2MGe4O12の構造と磁気的性質】ランタノイド(Ln)と遷移金属(M = Co, Fe)の二次元ネットワーク構造を持つLn2MGe4O12の新規合成に成功した。詳細な結晶構造解析の結果、LnとMイオンがランダム占有する(Ln,M)O6八面体とLnO8正方逆プリズムから構成された二次元層を持つ事を明らかにした。さらに、磁気測定を行い、Mイオンの反強磁性転移(M = Co)、MとLnイオンの二段階磁気転移などの特異な磁気的挙動を見出した。 【Ln3OsO7の磁気的性質】Osの一次元鎖構造を有するフルオライト関連化合物の磁気的・熱的性質を調べ、低温における異常な磁気的挙動を見出した。
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