研究概要 |
二酸化炭素改質による化学・電気エネルギー相互変換システムを念頭に置き、本申請研究「金属錯体による光駆動型二酸化炭素多電子還元システムの創出」では、生体内における補酵素NAD(Nicotinamide Adenine Dinucleotide)の再生可能なNAD+/NADH 型ヒドリド生成能に着眼し、この機能を配位子内に組み込んだ錯体分子による二酸化炭素の光触媒的多電子還元反応の開発を行った。前年度(平成23年度)においては、NAD モデル配位子であるpbn(2-(pyridin-2-yl)benzo[b][1,5]naphthyridine)の置換基効果の検討を行い、pbn配位子に置換基を導入することによる構造制御を達成し、光還元反応特性の制御にも成功した。本年度(平成24年度)は、基質結合部位を有する新規金属錯体・二酸化炭素還元反応の更なる高効率化を視野に入れた新規金属錯体の合成・単離や各種特性の解明に取り組んだ。基質結合部位を有する新規金属錯体に関しては、可視光照射により有機ヒドリドを複数貯蔵することができることを見いだし、基質であるCO配位子は、IRスペクトルの測定を行った結果、高いヒドリド受容能を有していることが明らかとなった。二酸化炭素還元反応の更なる高効率化を視野に入れた新規金属錯体に関しては、合成・単離のみならずX線結晶構造解析にも成功し、特異な錯体生成メカニズムに関しても知見を得ることができた。
|