研究課題
第一に、104番元素ラザフォージウムの実験条件を決定し、また、その化学的性質を議論するための比較対象となるデータをえるために、より原子番号の小さい同族元素であるZrとHfを利用した基礎化学実験を行った。大阪大学核物理研究センターのAVFサイクロトロン加速器を用いてプロトンビーム照射を行い、放射性のZr-88およびHf-175トレーサーを製造し、イオン交換法によりこれを精製した。これらを用いてTIOAベンゼン溶液と塩酸溶液の系で溶媒抽出実験をバッチ法により行い、新しいデータを得た。その結果からRf実験に適した抽出剤濃度や塩酸濃度を決定した。また、溶液条件によっては平衡到達時間が遅い条件があったため、抽出剤を不活性樹脂に吸着させて逆相抽出法による固相抽出実験も行い、比較的迅速な平衡到達条件を見つけた。これら化学実験と並行して、Rf実験のための装置開発も進めた。圧縮空気のスライダー等を用いて自動で送液から振とう廃液までを自動で行える装置を設計し、業者に依頼して作成してもらった。また、これを自動でコンピューター制御できるようにlabVIEWの回路を組み、ソフトを組み始めている。現在、まさにこれを制御できるように組んでいるところであり、今後、動作確認してから、これを用いて迅速化学実験を行い、さらに詳細な部分を詰めて開発を進める予定である。基礎化学実験の結果は、国際学会および国内の学会にて発表することができている。
2: おおむね順調に進展している
研究費をいただけたおかげで、希望せいていた通りのデータを得ることができ、装置開発もほど予定通りに進んでいる。ただ、23年度に購入予定だった送液ポンプが、先方業者からの連絡が遅かったため年度内に購入することができなかった。24年度には早々に購入してポンプの自動制御を加えて装置を完成に導きたいと考えている。
24年度の早いうちに装置を完成させ、実際に加速器を用いたオンライン化学実験を行い、テスト実験を行う予定である。不具合の改良やさらなる改善点等を詰めてからいよいよ理化学研究所の加速器利用を申請し、第一にはZr,Hfのオンライン溶媒抽出実験を行う。そして、104番元素Rfの製造テストを行ってから、目的であるRfの溶媒抽出実験を行う予定である。申請に対して許可された日程のある限り、塩酸濃度や抽出剤濃度を変化させてRfの塩化物錯形成の様子や溶存化学種を議論していきたい。また、世界で初となる超重元素の平衡到達の時間依存性を観測したいと考えている。
昨年度に購入できずに予算を繰り越した送液ポンプを早急に購入する予定である。あとは、予定通りの化学実験に使用する消耗品と振とう器などの購入に使用する予定である。旅費としては、国際、国内学会への成果報告と理化学研究所へ実験へ行く際の代表者と学生の旅費を予定している。
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