研究概要 |
当該研究計画書で定めた目的として「ストレスホルモンプローブの開発と高輝度化、及び生物発光顕微鏡による時空間的な分解能の向上」を掲げたことから、新たな生物発光酵素を樹立し、ストレスホルモンプローブに適用することによって、プローブの高輝度化・高感度化を図った。 そのために、深海発光プランクトン由来の生物発光酵素にポイント変異を導入することにより、従来酵素より10倍程度明るくて、発光安定性の優れた生物発光酵素を樹立できた(Kim et al. Anal. Chem., 2011, 83, 8732-8740)。また、このプランクトン由来の発光酵素を搭載した新規ストレスホルモン可視化プローブを開発した。この新規可視化プローブは、分子内構造を最適化したものであり、以前当該研究者が開発したストレスホルモンプローブに比べて約10倍程度検出感度を向上できた。この高感度性を用いて約15人の健常人の唾液からストレスホルモンを計測することに成功した。この結果をアメリカ化学会(ACS)のBioconjugate Chemistryに報告した(Kim et al. Bioconju. Chem., 2011, 22, 1835-1841)。 また、前記ストレスホルモンプローブの分子設計に関する当該研究から得た新しい知見を元に、分子設計手法に関する論文を発表した(Kim, Protein Eng. Design Sel., 2012, 印刷中; DOI: 10.1093/ protein/ gzs016)。 この一連の研究から、ストレスホルモンを高感度で検出する材料、プローブ設計、手法に関する新たな研究成果を対外に発信できた。
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