研究概要 |
本研究は申請者が見出したトポケミカル光環化反応による独創的な超分子自立膜の新規調製法をさらに展開させ、これまでに例のないキラル超分子自立膜の創製とその応用の検討を目的としている。 この目的を達成するため、らせん高分子膜(前駆体ポリマー)のト ポケミカル光環化反応による超分子自立膜のさらなる高強度化および光反応の高効率化を検討した。具体的には、1.これまで前駆体ポリマーの側鎖置換基Rに長鎖アルキル基(ドデシル基)を用いていたが、新たな側鎖置換基Rの構造を設計し、それに対応するモノマーの合成を行い、得られた前駆体ポリマー膜の強度と光反応後の超分子膜との関係について検討した。また、2.これまでキセノンランプを用いた光照射を行っていたが、LEDライトによる可視光照射を行い光環化反応の高効率化を検討した。 1. 置換基Rに水素結合性官能基の側鎖置換基としてヒドロキシドデシルオキシ基(水酸基)、N-ドデシルアミドペンチルオキシ基(アミド基)を有するモノマーを合成した。また、1,4,7-トリオキサウンデシル基などPEO鎖を置換したモノマーを合成し単独重合あるいは共重合を行った。いずれのモノマーも40~90%程度の収率でポリマーが得られた。得られたいずれのポリマーもドデシル基を有するポリマーよりも強度が高かく光環化後の膜の強度も高かった。 2.側鎖にドデシル基を有するポリマーの光環化反応(SCAT)を従来とは異なる光源としてLED光源を用いて行った。従来のキセノンランプでは4週間程度かかりキセノンランプの寿命500時間に対し同程度かそれ以上の反応時間を要していた。一方、同程度の光強度のLEDライトを用いた場合3~4週間で反応が終了し、反応時間はキセノンランプと同程度であったが、LEDライトの光源寿命が4万時間程度であるので光源に対する効率が大幅に改善された。
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