大腸菌による発現で封入体として形成するセルラーゼを用いて、各種水和塩中での溶解と溶解後の構造の解析を行った。検討に用いる塩種として、塩のコスモトロピシティに着目した選択を行い、これらの塩にわずかな水を添加した水和状態で封入体の溶解性について検討を行った。その結果、系内に存在するイオン種だけでなく、含水率によってセルラーゼの溶解性が大きく異なることが明らかとなった。また、各種水和塩中に溶解後のセルラーゼの構造について蛍光スペクトル解析を行ったところ、ほとんどの水和塩中に溶解後のセルラーゼの構造は変化していることが明らかとなった。その中で、コリニウムカチオンとリン酸二水素アニオンからなる水和イオン液体中に溶解したセルラーゼは、水溶液中で活性を示す可溶化サンプルと同様の構造であることを確認した。
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