研究課題/領域番号 |
23750137
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉川 佳広 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (30373294)
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キーワード | 生分解性高分子 / 酵素 / 偶奇効果 / 走査型プローブ顕微鏡 / 高配向グラファイト / 走査型トンネル顕微鏡 / 薄膜 / 自己組織化 |
研究概要 |
基板へのナノマテリアル集積化に向けて、その土台となる自己組織化構造の制御法開拓に向けた研究を推進した。具体的には、アルキル基をエステル結合あるいはアミド結合で導入したモデル化合物を新規合成し、基板上に形成された二次元構造を走査型トンネル顕微鏡(STM)によって観察した。アルキル鎖の鎖長を変化させると、偶奇効果により二次元構造が多様化した。また、エステル結合でアルキル基を導入した化合物と、アミド結合で導入したものはそれぞれ全く異なる二次元構造であった。これは、分子内水素結合が変化するためであると考察した。また、両結合様式について、偶奇効果が発現する特異なアルキル鎖長が存在することを見出した。さらに、アミド化合物については、-CO-NH-Alkylと-NH-CO-Alkylの様に、結合方向を変化させた化合物についても二次元構造のSTM観察を行った。その結果、分子内水素結合の様式が変化して、-NH-CO-Alkylの場合には偶奇効果が発現せず、すべて同一のナノ構造を示すことが明らかとなった。 次いで、機能性物質集積化に向けて、ポリヒドロキシブタン酸(PHB)重合酵素(PhaC)を基板上に集積化する方法の検討を行った。ニトリロ三酢酸(NTA)の自己組織化膜を調製し、His-tag化したPhaCをニッケル、銅、あるいはコバルトイオンで固定化を行い、ポリヒドロキシアルカン酸の重合能の比較を行った。その結果、銅イオンで固定化した場合が最も効率よくPHB合成できていることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モデル化合物の結合様式の違いによる偶奇効果の発現・消滅について知見を得ることができた。また、機能性ナノマテリアルとしてPHB重合酵素の基盤への固定加法の最適化を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
基板上に強固に自己組織化膜を作製するため、分子間水素結合についても評価を行う。また、パターン化した生分解性高分子表面上に酵素を配置していくため、効率的なパターニング方法および酵素の機能発現を検討する。そして、機能性物質を望みの場所に配置した新規ソフトマテリアルの創製に資する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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