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2012 年度 実施状況報告書

ロタキサンスイッチ駆動型フォルダマーの合成と機能

研究課題

研究課題/領域番号 23750148
研究機関東京工業大学

研究代表者

中薗 和子  東京工業大学, 男女共同参画推進センター, 助教 (30467021)

キーワードロタキサン / フォルダマー / π共役系高分子 / 分子スイッチ / 分子認識
研究概要

本研究ではフォルダマー挙動を示す共役系ポリマーの側鎖にキラルなロタキサンを導入してフォルダマー形成を制御し、さらにロタキサンスイッチによるπ集積系を制御することを目的としている。これまでに側鎖に光学活性なビナフチル基をもつ輪成分を導入したロタキサンモノマーおよび分子不斉ロタキサンモノマーから、酸化カップリング重合によりポリ(m-フェニレンジエチニレン)を合成し、その構造をCDおよびUVスペクトルから評価した。その結果、主鎖近傍に輪成分が移動可能な3級アミン(塩基性条件)では、貧溶媒中のCDスペクトルからキラルな高次構造の形成が示唆されたが、適当な酸を滴下して3級アンモニウム塩化すると、輪成分が主鎖から遠ざかり、CDスペクトルにおけるコットン効果が著しく弱まることが観察された。また良溶媒中においても輪成分が主鎖近傍に存在する状態においては、主鎖に貧溶媒中とは異なる片巻きらせん構造が誘起され、輪成分を主鎖から遠ざけると完全に主鎖のらせんキラリティーが消失することが観察された。特に分子不斉ロタキサンは明確なスイッチ効果とらせんキラリティー誘起効果を有することが明らかとなった。これらの成果に基づき24年度はアキラルなロタキサンと分子不斉ロタキサンとを共重合して得られたコポリマーにおいても、同様にらせん構造制御について検討した結果、コポリマーであってもSergeants-Soldiers効果に基づく不斉増幅が観察された。
また、こうしたフォルダマー形成の知見をもとに新たな機能性π共役系ポリマーへの分子不斉ロタキサン導入に向けた検討についても着手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分子不斉なロタキサンモノマーから酸化カップリング重合により、側鎖にロタキサン構造をもつポリ(m-フェニレンジエチニレン)を合成した。また、アキラルなロタキサンと分子不斉ロタキサンを様々な比で共重合し、コポリマーを得た。各々のポリマーの構造について溶媒および温度依存性を調べた。また、ロタキサンの分子スイッチ挙動によるらせん構造制御について検討した。コポリマーでも輪成分が主鎖近傍に局在する場合には、貧溶媒中、内孔をもつような片巻きのらせん構造が形成されることを示唆するCDスペクトルが得られ、不斉増幅が可能な系であることを明らかにした。本成果については、現在論文投稿に向けて補足データの収集と論文執筆を行っている。
また、新たなπ共役系高分子の構造制御を指向して、モデルロタキサンの合成を行った。ter-チオフェン構造を末端に有するロタキサンの合成と、m-フェニレンチオフェン構造を末端に有するロタキサンを合成し、その吸収および発光スペクトルの評価を行った。

今後の研究の推進方策

24年度には新たなπ共役系ポリマーの高次構造制御をロタキサンスイッチで行うことを指向したモデル分子の設計・合成および各種スペクトル評価をおこなった。モデルで得られた知見をもとに、最終年度は強い発光特性を有するπ共役系高分子のフォルダマー制御を検討する。また、これまでに得ているポリ(m-フェニレンジエチニレン)系については発光挙動についてさらに検討を行うと同時に、コポリマーも含めて、フォルダマー内孔へのゲスト包接について検討を進める。

次年度の研究費の使用計画

研究費の使用が効率的に行えたこと、および研究代表者が産休により研究を中断したために、昨年度は実支出額と所要額に差額が生じた。 今年度も合成・反応・特性評価が中心となるため、経費の多くを試薬および硝子器具費に充てる。カロリメーターなど、分析装置への経費の使用も計画している。また、情報収集および成果報告、ディスカッションのために、関連する国内外の学会(モレキュラー・キラリティー、高分子討論会、基礎有機化学討論会など)への参加のための旅費の支弁を計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 高田研究室

    • URL

      http://www.op.titech.ac.jp/polymer/lab/takata/index.html

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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