研究課題
若手研究(B)
Ruポルフィリンをコアとするフェニルアゾメチンデンドリマーは、ゲスト分子をその形状で認識することが可能である。この配位空間を利用し、触媒の形状に対する活性の依存性を調査した。一例としてオレフィンのエポキシ化反応を採り上げ、その基質の形状を変えたバリエーションに対して活性値を反応速度(TOF)として調べた。第四世代のデンドリマー(RuP-G4)を触媒とし、スチレンのo,m,p-のそれぞれの位置にメトキシ基が導入されたo-メトキシスチレン(o-MS)、m-メトキシスチレン(m-MS)、p-メトキシスチレン(p-MS)を基質とし、その反応速度Vを測定し比較した。また、G4デンドリマーの分子形状認識性を確認するため、比較として第一世代のRuP-G1を触媒に用いて同条件で実験を行った。結果、RuP-G4を触媒とした場合を見ると、全体的にRuP-G1を触媒としたときと比べて反応速度が1桁ほど小さくなっている。これは、嵩高いG4デンドロンによって活性中心となるRuポルフィリンが覆われており、基質との接触確率が減少するためだと考えられる。しかし基質ごとの反応速度の傾向は、RuP-G1を触媒としたときと似てはいるものの、RuP-G4とRuP-G1の反応速度比(VG4/VG1)ではm-MSが認識されており、反応速度が速いことが分かった。同様にフェニルスチレンを基質とした場合でも同じような傾向が見られた。分子モデリングで予想された分子の形状認識の予想と一致する結果となった。デンドリマーのシェルを隔てた光誘起電子移動と組み合わせ、光を駆動力とした選択的な精密触媒反応が可能になると期待される。
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