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金属イオンと配位子からなる配位高分子を用いて様々なプロトン伝導体を合成した。特に1nmを切る一次元細孔を持つ配位高分子の内部空間にイミダゾールなどのプロトンキャリアを充填することで無加湿プロトン伝導挙動を見出した。
水熱合成や固相合成を駆使することで特にZn2+イオンを用いた多彩なプロトン伝導性配位高分子の合成に成功し、100～200度の範囲で10(-3) S/cm以上の無加湿プロトン伝導を示す化合物を作ることに成功した。いずれも一次元チャネルを用いてプロトンキャリア分子を高密度に充填しつつ、それぞれの分子運動の抑制を抑えたことによって得られた結果である。伝導のメカニズムは固体NMR（特に重水素核）の観測から定量的に議論することができ、その結果、結晶構造内部の一部のプロトンキャリアが高速で回転運動をすることによってプロトン伝導が引き起こされていることが分かった。この挙動は柔粘性結晶として見られるものであるが、これまで柔粘性結晶の分野で今回のようなポリマー構造は存在していない。本成果によって結晶性のポリマー構造でありながら、柔粘性結晶挙動を示す新たな物質群を提示することができた。これらは多量に粉末合成が可能であり、化学的安定性や熱的安定性に優れている。このような特性をより高めることによって、今後のイオニクスデバイスである燃料電池やガスセンサー、水蒸気電解などへの応用の基幹材料となりうることが期待される。
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