研究概要 |
本研究では、高い抗酸化能および機能性を有する金または白金ナノコロイド粒子の開発を目指し、保護剤としてデンドリマー骨格に1または2本のアルキル鎖を導入した単鎖型およびジェミニ型両親媒性デンドリマー、そのデンドリマー末端基を糖鎖で修飾した両親媒性多糖デンドリマーを分子設計・合成し、それらの水溶液中における物性ならびに会合挙動を調べた。さらに、これらの両親媒性デンドリマーを保護剤として用いて金・白金ナノ粒子を調製し、その触媒活性を検討した。 世代1~5の単鎖型およびジェミニ型両親媒性デンドリマーは、ドデシルアミンまたはN,N’-ジドデシルエチレンジアミンを出発物質のコアに用いて、アクリル酸メチルとエチレンジアミンを交互に反応させるDivergent法により合成した。また、これらの両親媒性デンドリマーのアミノ末端基に、ラクトビオン酸の糖鎖を修飾させて、両親媒性多糖デンドリマーに誘導した。単鎖型およびジェミニ型多鎖型両親媒性デンドリマーの物性を表面張力測定により調べ、気/液界面での吸着・配向性について検討し、水溶液中で形成する会合体のナノ構造を、動的光散乱、蛍光、低温透過型電子顕微鏡(cryo-TEM)、X線小角散乱(SAXS)の測定により調べた。さらに、両親媒性デンドリマーの水溶液に塩化金酸または塩化白金酸を溶解させた後、水素化ホウ素ナトリウムにより金イオンを還元し、金または白金ナノ粒子を合成し、その安定性および形状・大きさを可視紫外スペクトル、動的光散乱、中性子小角散乱および透過型電子顕微鏡により調べた。得られた金属ナノ粒子の触媒活性の検討として、p-ニトロフェノールからp‐アミノフェノールへの還元反応と1,1‐ジフェニル‐2‐ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカルの消去反応を調べたところ、世代に依存して高い活性が得られることが明らかになった。
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