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2011 年度 実施状況報告書

酵素と有機触媒を組み合わせた環境調和型反応系の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23750171
研究機関東京大学

研究代表者

赤川 賢吾  東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60548733)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワードペプチド触媒 / 有機触媒 / ラッカーゼ / 酸化酵素 / 不斉酸化反応 / オキシアミノ化反応
研究概要

酸化酵素であるラッカーゼと水中で効率的に機能するペプチド触媒を同一系内で用い,酵素による空気酸化と有機触媒による基質の活性化を組み合わせた新たな反応系の開発に成功した。Pro-D-Pro-Aib-Trp-Trpの5残基をポリロイシン鎖に結合させたターン-ヘリックスモチーフをもつ樹脂固定化ペプチドは水系溶媒中での不斉有機触媒反応に適しており,以前研究代表者らはアルデヒドの不斉α-オキシアミノ化反応に応用していた。この反応は2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)をオキシアミノ化剤として用いており,金属試薬による一電子酸化が反応過程に含まれる。今回,金属試薬を用いた酸化を酵素による非常に高効率な空気酸化に置き換えてペプチドの触媒サイクルに組み込むこと成功し,わずか0.002 mol%のラッカーゼがオキシアミノ化反応をスムーズに進行させることを見い出した。さらに,界面活性剤存在下で反応を行うとアルデヒドのカルボン酸への酸化が進行してキラルなα-オキシアミノカルボン酸が得られることも分かった。これは既存の報告例にはなかった変換反応で,ペプチドと酵素を同一系内で用いることによって達成された独自の反応系である。これまで用いられていた等量以上の金属酸化剤あるいは数十mol%の金属触媒が不要となり,水中での不斉酸化反応が効率的に行えたことから,環境調和型の有機合成に新たな方向性を示すことができたと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酸化酵素とペプチドが協同的にはたらいて不斉酸化を進行させる反応系の開発に成功した点については計画通りである。さらなる目標として酵素とペプチド触媒を用いた連続反応系の開発を掲げているが,これに関しては現在検討を行っている。これまでにFriedel-Crafts型不斉アルキル化反応とα-オキシアミノ化反応を連続的に行うことで高度に官能基化されたインドール化合物を高いエナンチオ選択性で得ることに成功しており,計画はおおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

23年度に得られた成果をもとに,酵素による空気酸化とペプチド触媒を組み合わせたone-pot連続反応について検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

23年度の研究費と合わせて合成用の試薬・溶媒,高速液体クロマトグラフィー用分析溶媒等の消耗品を購入し,また研究発表のための旅費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Peptide/Laccase Cocatalyzed Asymmetric alpha-Oxyamination of Aldehyde2011

    • 著者名/発表者名
      Kengo Akagawa, Kazuaki Kudo
    • 雑誌名

      Organic Letters

      巻: Vol.13 ページ: 3498-3501

    • DOI

      DOI:10.1021/ol201295

    • 査読あり
  • [学会発表] ペプチド触媒と酵素を用いたFriedel-Crafts型アルキル化/オキシアミノ化one-pot連続不斉反応2012

    • 著者名/発表者名
      梅澤 遼太、赤川 賢吾、工藤 一秋
    • 学会等名
      日本化学会第92春季年会
    • 発表場所
      神奈川
    • 年月日
      2012年3月25日
  • [学会発表] ペプチド触媒と酵素を用いたアルデヒドの不斉α-オキシアミノ化反応2011

    • 著者名/発表者名
      赤川 賢吾、工藤 一秋
    • 学会等名
      第4回有機触媒シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011年9月17日

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公開日: 2013-07-10  

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