研究課題/領域番号 |
23750174
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小池 隆司 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (30451991)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 太陽光 / 光触媒 / キラル触媒 / クロスカップリング / 不斉光触媒反応 |
研究概要 |
本研究では、太陽光を利用した精密な有機合成反応の開発を指向し、新規な光触媒の創成に取り組んでいる。本年度は、基質活性化部位を有する新しい2,2'-ビピリジン配位子の合成に成功した。またルテニウム錯体への導入も検討し、錯体化も確認した。引き続き、キラル光触媒創成へ、合成した高機能化光触媒の精製、分離に取り組んでいる。本年度はさらに、太陽光反応の開発にも取り組んだ。既往のルテニウム光触媒を用い、太陽光下でエナミンとシリルエノールエーテルの酸化的カップリング反応を見出した。本反応では、合成中間体として有用な非対称なγ-ジケトン類を効率的に合成できる。今後、合成した新規なキラル光触媒を本反応に適用し、不斉光反応の開発に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
触媒合成の第一段階である配位子の合成に取り組んだ。当初、計画していた配位子の合成にはまだ成功していないが、同様の活性化機能が期待できる配位子を設計し直し、合成することに成功した。今後は、錯体へ導入し、新規な光触媒を合成する。また、太陽光反応を行う上で、太陽光を十分に吸収するために重要と思われる反応容器を設計した。実際に設計した反応容器を用いた太陽光反応も開発した。今後、新しく合成した光触媒を用い、太陽光反応を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度合成をめざした光触媒の分子設計を変更したため、購入する予定であった試薬を翌年に購入することにし、残額が生じた。また、高選択的な反応を達成するために必要と考えている低温光反応装置の設計と見積もりに時間を要したため、予算執行時期が遅れ残額が生じた。今後は、まず合成した配位子から新規な光触媒を合成し、その触媒機能を明らかにする。新しく購入予定の光反応装置も活用し、高選択的な反応の開発をめざす。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究を進める上で、光反応装置は重要である。光源となるキセノンランプ、LEDランプを購入する予定である。さらに、低温光反応装置の購入も検討している。また、光触媒合成に必要な試薬も消耗品として予算に加えている。現在得られた成果を発表するための学会参加費、旅費を計上している。
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