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2011 年度 実施状況報告書

自己複製超分子を指向した金属錯体型人工DNAのPCR様増幅サイクルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23750181
研究機関東京大学

研究代表者

竹澤 悠典  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (70508598)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード人工DNA / 金属錯体型塩基対 / 自己複製 / 超分子化学
研究概要

本研究では、金属配位部位を核酸塩基として有する人工DNAオリゴマーを鋳型として、配位子型ヌクレオシドの縮合反応をおこない、人工DNA鎖の複製系を構築することを目的としている。本年度は、金属錯体型塩基対を形成するヌクレオシドとして、Cu2+イオンにより安定な平面四配位型錯体を形成するヒドロキシピリドン型ヌクレオシド(H)を選択し、縮合反応のモノマーとなる5'-モノリン酸体の合成をおこなった。種々の合成法を検討した結果、定法の一つであるYoshikawa法によって、ヒドロキシピリドン型ヌクレオシド(H)の5’-水酸基選択的リン酸化に成功した。このときヒドロキシピリドン部位の水酸基の保護が必要となるが、検討の結果、ベンジル基による保護によって、5’-モノリン酸体を収率よく得ることができた。ベンジル基を還元的に脱保護し、逆相HPLCによる精製ののち、目的とするヒドロキシピリドン型ヌクレオシド5'モノリン酸をトリエチルアンモニウム塩として得た。同定は、1H NMR, 31P NMRおよびエレクトロスプレーイオン化質量分析によりおこない、ヌクレオシドHからの収率は35%であった。続いて、リン酸基をイミダゾール等により活性化したモノリン酸誘導体を合成し、これを縮合反応のモノマーとして用いることとした。 次に、単純な実験系として、鋳型鎖に会合させたプライマーDNAを基点とした人工ヌクレオシドモノマーの縮合反応、すなわち鋳型鎖DNA上での一塩基伸長反応を計画した。現在、金属錯体型塩基対形成に用いる金属イオンの種類やpH、温度などの反応条件を変え、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により反応追跡をおこなっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

金属錯体型人工DNAを用いた分子増幅サイクルの構築に向け、本年度は(1) 金属配位子型人工ヌクレオシド誘導体の設計・合成、および(2) プライマー伸長反応による鋳型縮合の条件検討を計画し、研究を遂行した。 (1) 金属配位子型人工ヌクレオシド誘導体の設計・合成に関しては、ヌクレオシドとしてヒドロキシピリドン型ヌクレオシド(H)を選択し、保護基の選択を含めた合成検討の結果、目的とする5'-モノリン酸体を収率よく合成することができた。さらに、モノリン酸のイミダゾールによる活性化をおこない、計画通り縮合・増幅反応に用いるヌクレオシドモノマーを得ることができた。 (2) プライマー伸長反応による鋳型縮合反応の条件検討に関しては、鋳型鎖上でのプライマーDNA鎖の一塩基伸長反応をデザインした。後処理及びポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析を含めた反応評価系を確立し、pH、温度等の反応条件の検討をおこなっている。 以上のように、ヌクレオシド誘導体の合成、および鋳型縮合反応の評価系の確立を完了し、当初の研究実施計画に基づき、おおむね順調に進行していると考える。

今後の研究の推進方策

本年度に引き続き、ヒドロキシピリドン型ヌクレオシドモノリン酸を用いて、鋳型DNA鎖上でのプライマー伸長反応の条件検討をおこなう。特に、鋳型鎖上へのヌクレオチドモノマーの会合制御に重点を置き、金属錯体型塩基対形成を駆動力とする会合挙動の分析をおこなう。鋳型鎖上でのヌクレオシドモノリン酸の会合を制御するには、金属錯体型塩基対の構造情報が不可欠であると考え、新たにX線結晶構造解析等による金属錯体型塩基対の配位構造およびコンフォメーションの解析を計画している。

次年度の研究費の使用計画

本年度に引き続き、鋳型鎖上でのモノリン酸の縮合反応を検討するため、本年度の研究費(物品費)の一部を次年度に使用する。さらに、新たに金属錯体型塩基対の構造解析実験を計画しており、結晶化及び解析に必要な器具類の調達に使用したい。 本研究では、鋳型人工DNA鎖およびモノリン酸の大量合成が必要であり、各種合成試薬・器具に加え、純正DNA合成試薬や精製カラムを購入し、合成・精製の簡便化・迅速化を図る予定である。さらに反応追跡を容易にするために、DNA分析用HPLCカラムや電気泳動機器の購入を検討している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Metal-Mediated DNA Base Pairing: Alternatives to Hydrogen-Bonded Watson-Crick Base Pairs2012

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Takezawa and Mitsuhiko Shionoya
    • 雑誌名

      Accounts of Chemical Research

      巻: 45 ページ: 2066-2076

    • DOI

      10.1021/ar200313h

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Direct Conductance Measurement of Individual Metallo-DNA Duplexes within Single-Molecule Break Junctions2011

    • 著者名/発表者名
      Song Liu, Guido H. Clever, Yusuke Takezawa, Motoo Kaneko, Kentaro Tanaka, Xuefeng Guo and Mitsuhiko Shionoya
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: Vol. 50 ページ: 8886-8890

    • DOI

      10.1002/anie.201102980

    • 査読あり
  • [学会発表] Metal-mediated artificial base pairing for the development of DNA-based nanomaterials

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Takezawa, Jean-Louis Duprey, Shoichi Takada, Akira Sakamoto, Song Liu, Guido H. Clever, Motoo Kaneko, Kentaro Tanaka, Xuefeng Guo, Mitsuhiko Shionoya
    • 学会等名
      The 38th International Symposium on Nucleic Acid Chemistry (ISNAC2011)
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2011年11月9~11日

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公開日: 2013-07-10  

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