研究課題
前年度までに、蛋白質により表面被覆されたPEDOTナノ粒子の作成、さらに用いる蛋白質の種類を変化させることで、生成されるPEDOTナノ粒子の酸化還元電位が変化する傾向が見られていた。しかしながら、金電極上に静電相互作用を介して吸着固定化しサイクリックボルタンメトリーによって観測される電位に関して、作成するロットごとに再現性を得ることが難しいことがわかってきた。この原因として、酸化還元応答を示す金属結合蛋白質などで電気化学を用いて正確な酸化還元電位を得ることが難しいことと同じ状況が起こっていることや、蛋白質により表面被覆されたPEDOTナノ粒子の生成メカニズムに関しての理解ができていないために、同じ性質を持ったPEDOTナノ粒子が再現性良く生成できていないことが考えられた。そこで一旦立ち返り、蛋白質により表面被覆されたPEDOTナノ粒子の生成メカニズムに関して詳細な検討を行った。蛋白質により表面被覆されたPEDOTナノ粒子の作成は、PEDOT/PSSの合成法を参考にこれまで検討を行ってきた。PEDOTのモノマーとなるEDOTを蛋白質を部分的に変性させた状況下で混合し、Feイオンを助触媒にしてAPSによる酸化重合を行うことで、蛋白質で被覆されたPEDOTナノ粒子は得られる。DLSなどを用いて酸化重合前の反応溶液に関して詳細な検討を行った結果、EDOTを蛋白質を部分的に変性させた状況下で混合した際には、EDOTのナノ液滴が蛋白質の吸着によって安定化されていることが分かった。これにより、引き続き行われる酸化重合によってナノ粒子の粒子径が規定されていた。そこで、蛋白質が吸着したEDOTのナノ液滴のサイズを均一化するために、この調製に超音波操作を用いることで、得られるPEDOTナノ粒子の粒子径の再現性が取れるようになった。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 産業財産権 (1件)
Langmuir
巻: 29 ページ: 11695, 11704
10.1021/la401566h
巻: 29 ページ: 11667, 11680
10.1021/la402167v