研究概要 |
本研究課題では、人体に影響のない程度の低線量でガン細胞のみを死滅させるX線治療のためのX線増感剤の開発を進めている。本年度は、2分子のグルコースを様々な連結法でトランス配置したtrans-2置換グルコース連結ポルフィリンの合成法の確立と子宮頚部ガン由来細胞株(HeLa)を用いた細胞取り込み試験および細胞毒性(暗所毒性)試験を行った。合成:trans-2置換グルコース連結ポルフィリンの合成法の確立:亜鉛及び白金含有S連結体、フリーベースO連結体ならびにフリーベース、亜鉛及びパラジウム含有トリアゾール連結体の2置換体合成を行った。反応させるポルフィリンおよびグルコース誘導体(AcGlcSAc, AcGlcOH, AcGlcN3)の量、溶媒、触媒等の検討を行い、それぞれの連結体(S, O, トリアゾール)の合成法の最適化に成功した。細胞への薬剤取り込み試験:HeLa細胞株(1x10^6 cells/well)に0.5 microMの合成したtrans-2置換グルコース連結ポルフィリン誘導体(S, O, トリアゾール連結体)を添加し24時間薬剤接触後の細胞への薬剤取り込み量を、各連結体の他置換体(1, cis-2, 3, 4置換体)と比較した。その結果、亜鉛含有S連結体はどの置換体でも薬剤取り込み量に差は見られなかったが、それ以外のポルフィリン誘導体では、金属の有無、連結部位に関わらずtrans-2置換体が他置換体よりも数倍高い薬剤取り込み量を示すことが分かった。細胞毒性試験:合成したすべてのtrans-2置換グルコース連結ポルフィリン誘導体は薬剤濃度1 microM以上でも暗所下では細胞毒性を示さなかった。
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