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2011 年度 実施状況報告書

RNAの分子内接触運動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23750202
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

鵜澤 尊規  独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 研究員 (60554376)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2013-03-31
キーワード核酸 / ダイナミクス / 発光寿命
研究概要

RNAは立体構造を形成し生命活動に重要な役割を果たしているにもかかわらず、構造形成における最も基礎的な過程である、RNA分子内の2点間が衝突する運動の実験的な報告例はない。これは、詳細な実験のないまま、構造が似ているDNAとRNAは同じ運動性を持つと考えられていることに起因する。そこで、申請者のこれまでの経験を生かして、一本鎖RNAの分子内2点間の衝突速度を詳細に調べDNAのそれと比較をこころみた。まずは、理化学研究所内の支援チームに依頼して発光寿命測定装置の立ち上げ、恒温装置の設置によって発光寿命を測定できるようにした。新たな装置の状態は、これまでに測定したことのあるDNAの両末端に発光分子であるルテニウム錯体と消光分子であるDABSYLを修飾したラベル化DNAの発光寿命を測定したところ、新たに立ち上げた装置でもこれまでと同様の発光寿命を得ることで確認できた。一連の実験中にポリアデニンとポリチミンの異なる温度依存性に関するデータを集めることができたので、現在JACS誌に投稿準備中である。次に、RNAの運動を調べるために、遺伝子工学的にRNAを大量に合成した。20から50塩基分の連続したチミンもしくはアデニンの両末端にDNAハイブリダイズ用の特別な配列を配置した。その後、ルテニウム錯体修飾DNAとDABSYL修飾DNAをRNAの両末端にそれぞれハイブリダイズさせて発光寿命を調べた。RNAの鎖長を変えてみたり、ルテニウム錯体修飾DNAとDABSYL修飾DNAの向きを変えてみたりしたが、DABSYL修飾DNAをハイブリダイズさせた場合とハイブリダイズさせなかった場合で明確な発光寿命の差を観測することができなかった。ルテニウム錯体もしくはDABSYLがDNA/RNAの二本鎖にインターカレートしてしまったためという可能性を考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していたよりも、理化学研究所内で発光寿命測定装置を立ち上げることに時間が掛かった。特に、測定部屋の冷房がよく効いているためか恒温装置を設置しなければ、以前に室温で測定していた発光寿命と同じ値を得ることができないほどであった。恒温装置の改造にも時間を要し、核酸のダイナミクスを測定できる環境になるまでに時間を要した。さらに、先に提出した実験計画では1年目にRNAの2点間の衝突速度を見積もることを考えていたが、RNAを用いた場合においてDABSYL修飾DNAをハイブリダイズさせた場合とハイブリダイズさせなかった場合で明確な発光寿命の差を観測することができなかった。

今後の研究の推進方策

DABSYLではない消光分子として以前用いていたメチルビピリジンを利用する。もしくはラベル化DNAをRNAにハイブリダイズさせずに、リガーゼでRNAとラベル化DNA(DABSYLもしくはメチルビピリジン)を結合させる予定である。一本鎖DNAについても同様の実験を行い、RNAの結果と比較することにより両者のダイナミクスの違いについて検討する。さらに当初2年度目の研究として予定していた、F-RNAやLNAの運動についても同様に調べる。

次年度の研究費の使用計画

リガーゼでRNAにラベル化DNAを結合できる効率は非常に低いので、かなりのRNA及びラベル化DNAを必要とすると考える。そのことから、RNA合成およびラベル化DNAに関する消耗品に予算を重点的に配分することになると考える。

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公開日: 2013-07-10  

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