研究課題
昨年度実施した研究の継続として、本年度もビチオフェン部位、アントラキノン部位を持つ液晶化合物の合成と電気化学的挙動に関して研究を行った。昨年まで、化合物は中心にアントラキノン部位、両隣にビチオフェン部位を有する化合物であり、対称性等の関係で液晶温度に達するまでの温度が高く、その範囲が狭い等の原因が問題として挙げられてきた。そこで、化合物自体の対称性を下げるためにアントラセン-ビチオフェン(1:1)から成る液晶性エレクトロクロミック材料の開発を行った。対称性の面から考えていた融点の降下に関しては、これらの設計でアントラセン-ビチオフェン(1:2)と比較し、20~30℃ほど低い温度で融点となったものの、その液晶性は、現在、観られていない。側鎖構造の改良等で液晶性を発現するか検討している。アントラセン-ビチオフェン(1:1)に関しての電気化学的特性に関して検討した。サイクリックボルターメトリーにおける酸化還元においては、酸化側のシグナルは不可逆なシグナルとして+1.0V(vs Fe/Fe+)が観察された。 また、還元側のシグナルは、-0.95Vと-1.35V(vs Fe/Fe+)の2種の可逆なシグナルが得られた。これらの結果は、これまで合成してきたアントラセン-ビチオフェン(1:2)と類似のシグナル挙動であることがわかった。また、酸化側のシグナルが不可逆であることから、酸化における色の寡婦逆性は期待できないことが予想できた。今後、酸化側の因子であるビチオフェン部位をターチオフェンやテトラチオフェン部位に換えることで酸化側の安定性を図る予定である。さらにITO電極を用いた色の変調をアントラセン-ビチオフェン(1:1)について行う予定であったが、溶解性の問題で、濃い濃度での溶液を作れず断念した。併せてこれまで合成したエレクトロクロミズム材料を溶液中でなく、イオン性液晶化合物と混ぜ合わせ、混合物の液晶性に関して検討を行った。
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Porphyrins Phthalocyanines
巻: 17 ページ: 1080-1093