研究課題
デュアルモードディスプレイ(DMD)は、明所での視認性に優れる省エネルギー表示の反射型表示と、暗所での視認性に優れ高速応答が可能な発光型表示の2つの表示方式を有し、状況に応じて表示方式を使い分けることでそれぞれのメリットを享受できるディスプレイである。 それらの実現へ向けて、外部刺激によって色変化や発光変化を同時に示す材料が求められる。そこで本研究では、発光性の希土類金属錯体と電気化学的な酸化還元によって可逆的な色変化を示す材料を組み合わせた素子を構築し、その電気化学的着消色と発光挙動を観測した。その結果、数ボルト程度の電圧で透明からシアン色へ可逆的に色が変化し、その色変化と同時に素子の蛍光が制御できることを見出した。この着色と発光の同時変化は、材料内での光エネルギーの移動制御によることも分かり、そのエネルギー移動効率は99%以上にのぼった。更に、プロトタイプDMD素子を構築し、文字情報などのデュアルモード表示を実現した。また、温度制御により良好な着消色を示すサーマルリライト媒体に発光機能を付与することで、赤・緑・青のフルカラー着色および発光変化を示す感熱型デュアルモード表示媒体の構築に成功した。研究の進展により「暗所では文字が光り、明所では文字が着色するディスプレイ」といった、視認性や省エネルギー性を両立する表示素子の実現が期待される。 本研究に関わる研究開発成果は、国際学術論文5報、国際特許出願(PCT)、新聞報道2回、イノベーション・ジャパンでの発表(若手発表、JSTブース内)という形で発信を行い、国際学会発表賞、千葉大発明賞等の評価を得た。
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Japanese Journal of Applied Physics
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