研究課題/領域番号 |
23750215
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
江本 顕雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 産総研特別研究員 (80509662)
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キーワード | 光導電性 / 固体電気化学 / フォトキャリア / フラーレン / 硫化銀 / センサーチップ |
研究概要 |
本研究課題「光誘導固体電気化学反応技術の確立」において、研究実施計画に基づき、①光導電性と電気化学反応の調査、②反応生成物の電気的・化学的調査および③素子構造のモディファイに関する検討を行った。前年までに、光照射と連動して電源内蔵微小電流計をコンピュータ制御してフォトカレントを測定する実験系を構築して、①に関する調査を行っていたが、これらの測定が低分子液晶中の不純物に大きく影響を受けることが判明した。そこで、当該年度途中から、一連の調査における測定手法を再検討し、より不純物の影響を考察しやすい電気化学的手法を取り入れることとした。本研究で利用するセルは透明導電膜にはさまれた薄いサンドイッチ構造となっており、電気化学測定の主流である3極測定が難しいと思われたが、セル構造を工夫することで所望の測定が可能となった。これらの変更に伴い、当初予定した、研究成果の学会および論文報告が大幅に遅れたため、事業期間延長申請を行い、25年度も継続して取り組む。 一方で、③の素子構造の検討に関しては、23年度より先行して準備をしており、24年度もこれらの検討を進めた。本研究の主題のひとつである光電気化学分野は近年多様な分野に応用されている。バイオセンシングの分野もその一例である。微細構造が金属コートされたセンサーチップ表面の分子吸着による表面プラズモン励起の変化に起因した光学スペクトルの変化は、簡便かつ高精度のセンシング応用が期待されており、ここに電気化学手法による選択吸着などの研究が進んでいる。本研究では、このようなセンシング利用可能で電気化学手法に適し、かつ急峻なスペクトル特性を有する微細構造について検討し論文報告を行った(次頁論文欄に記載)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
年度途中の実験手法の変更に伴い、研究計画に対して大幅に遅れているため、事業期間延長申請を行った。現在、測定手法の変更と素子構造のモディファイに関する検討が進行しており、進展の見通しが得られているため、事業期間延長により、研究実施計画に基づく研究の進展が見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、現在進行している実験の成果をまとめ、論文および学会発表を行う。また、素子構造のモディファイの一環として進めていたセンシング用の基板と、光導電性材料を組み合わせた、新しい電気化学セルを作製し調査する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費使途に関しては、事業期間延長申請時に申告の通り、研究費の大半を学会・論文発表等の経費として充当する予定である。
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