平成23年度、ヒト皮膚繊維芽細胞に対して低毒性と考えられるUVA-LED照射条件をMTTアッセイを利用し決定した。しかし、アッセイ系の吸光度にUVA照射が影響することが判明し、本測定法は不適であることが分かった。 平成24年度は、トリパンブルー色素排除法によるカウント法で照射毒性を評価することとした。その結果、積算照射量14.7J/cm2の時、24時間培養後の増殖率は23%増(未照射時は107%増)であり、この照射量における細胞増殖率に及ぼすポリフェノールの影響を検討した。ポリフェノールは、レスベラトロール以外にカテキン、エピガロカテキンガレート、ケルセチン、モリンを用い評価した。各ポリフェノール添加濃度は、MTTアッセイ法を利用し決定された細胞生存に影響を与えない最大濃度とした。ポリフェノールあり/なしにおいてのUVA照射毒性評価を行った結果、細胞増殖率および比増殖速度(24時間培養で計算)に有意差はなった。従って、この手法では有用なポリフェノールを選定することはできないと判断し、他の評価方法を再検討した。 細胞に添加するポリフェノール濃度は、ROS応答蛍光プローブを用い細胞内ROSを相対評価し、ROSを50%抑制する濃度を決定した。その結果、最も低い濃度を示したモリンを有効なROS阻害剤とした。次に、その濃度で細胞を共培養し、その後、積算照射量を変えてUVA処理し、3日間培養における細胞数計数を実施することにより比増殖速度を算出した。比増殖速度に及ぼすUVA照射量の影響は非常に大きく、積算照射量5.0J/cm2においてもその速度を30%減少させることが分かった。しかしながら、モリンと共培養させたところ6%減少に留まった。従って、モリンと共培養させることにより、UVA感受性が低下したことが示唆され、この現象はモリンによる抗酸化効果に起因するものと考えられた。
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