研究課題
本研究では、リチウム二次電池用溶媒として有機フッ素化合物を使用するための基盤となる各種特性評価を行うことを目的とする。フッ素原子の導入個数および基本構造の違いが、有機フッ素化合物の物理的性質や化学的性質、有機フッ素化合物を溶媒とする電解質溶液の特性ならびに電池の特性に及ぼす影響について系統的に検討する。平成25年度は、1-エトキシ-2-メトキシエタン(EME)、1-エトキシ-2-(2-メトキシエトキシ)エタン(EMEE)、これらのエチル基の片末端にフッ素原子を3個導入したトリフルオロ体(TFEMEおよびTFEMEE)を溶媒とする電解質溶液の特性およびリチウム二次電池への応用を検討した。電解質にはLiPF6 (1 mol dm-3)を使用した。トリフルオロ体の酸素原子の電子対供与性(ドナ-数)は、無置換体のものよりも低かった。トリフルオロ体のリチウムイオンに対する溶媒和は弱いと考えられ、トリフルオロ体を溶媒とする電解質溶液の導電率は、測定した温度範囲内において低かった。モル質量の高いトリフルオロ体の粘性率および質量密度は、無置換体のものよりも高かった。しかし、これらの動粘性率は、特に高温側において無置換体のものに近かった。コバルト酸リチウムを正極、リチウム金属を負極とするコインセルを作製し、定電流-定電圧充電、定電流放電によりこれらの性能を評価した。コインセルの評価では、エチレンカ-ボネ-ト(EC)を高誘電率溶媒、鎖状エ-テルを低粘性溶媒とし、これらを等モル含む混合物を使用した。充放電サイクルに伴う放電容量の変化は、導電率等の溶液バルク特性と無関係であった。EC-TFEME混合溶媒系の放電容量は、50サイクルにおいて約110 mAh g-1であり、他の混合溶媒系における値よりも高かった。ニッケル電極上においてリチウムの還元析出と酸化溶解とを繰り返したときのク-ロン効率は60%以上であった。
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