研究課題
クロロフィルJ会合体によって構築された三次元ネットワークに発光性希土類錯体を組み込んだ新規「クロロフィル-ハイブリッド型希土類錯体」超分子体の開発を遂行した。希土類錯体の多彩な配位特性とクロロフィル誘導体の自己会合性を活用して、単分子からナノスケールサイズの超分子体を構築し、超分子構造および機能の制御を行い「クロロフィル-希土類錯体」によるJ会合体を構築し、水系で強発光を示す希土類錯体を開発するとともに、特徴ある発光特性を有する新たな発光性機能材料の構築を目指した。平成23年度では、まず新規「クロロフィル―配位子」を含む希土類錯体の開発と主に有機溶媒中での希土類錯体形成挙動の検討を中心に行った。クロロフィル誘導体を光吸収部位とするクロロフィル―配位子を合成し、配位子と特に近赤外領域に発光特性を有するTb3+、Yb3+などの希土類イオンとの錯体形成挙動およびその化学量論をNMR・Mass・紫外可視吸収スペクトルなどによって検討した。その結果、クロロフィル―配位子:希土類イオン=1:1の錯体が優先的に形成していることを見出した。さらに、励起・発光スペクトル等各種分光法によって、これらの錯体がクロロフィル部位から希土類中心へのエネルギー移動を経て発光することを見出し、天然色素であるクロロフィルを光吸収部位とする発光性希土類錯体の開発に成功した。平成24年度には、構築した「クロロフィル―配位子」希土類錯体のクロロフィル誘導体による自己会合(J会合体)を基本骨格とした超分子体の構築と超分子間相互作用の検討を行った。ミセル水溶液中で「クロロフィル―配位子」希土類錯体から成るJ会合体が構築できるか検討を行った。界面活性剤としてはTX-100の他に陰イオン性のSDS、陽イオン性のCTAB、リン酸脂質や糖脂質など希土類イオンをミセル内の疎水的環境にうまく閉じ込める手法を検討した。
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