研究概要 |
新規な近赤外蛍光材料の開発を目指して、ピリミジンの単核および二核錯体の合成を行った。 無置換、トリフルオロメチル基、ジメチルアミノ基が導入されたピリミジン単核ホウ素錯体1-3はジクロロメタン中で以下の最大蛍光波長および量子収率を示した(1:428nm, 0.01, 2: 425 nm, 0.01, 3: 526 nm, 0.76)。また、1-3は固体状態でも蛍光を示した。興味深いことに、1(525 nm, 0.13)および2(488 nm, 0.15)は通常の蛍光色素とは異なり、溶液中よりも固体状態において高い蛍光量子収率を示した。またジメチルアミノ基が置換されたピリミジン単核ホウ3(629 nm, 0.20)は赤色の強い蛍光を示した。電子供与基および電子求引基の導入は固体状態での最大蛍光波長にそれそれ短波長化および長波長化の影響を与えることが明らかになった。 無置換およびジメチルアミノ基とトリフルオロメチル基が導入されたPush-Pull型のピリミジン二核ホウ素錯体4および5を合成した。4の生成は単結晶X線構造解析により明らかにした。4および5はジクロロメタン中で以下の最大蛍光波長および量子収率を示した(4:490 nm, 0.55, 5: 655 nm, 0.02)。4および5は固体状態においても蛍光を示した。4は赤色の蛍光を示した(641 nm, 0.07)。また、Push-Pull型の二核錯体5は近赤外領域に固体蛍光を示した(716 nm, 0.01)。
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