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本研究では修飾基の置換方向が揃った異方性二置換フラーレン誘導体を得るため、その前駆体となるフラーレン化合物を開発することを目的とした。加えて、その前駆体フラーレン誘導体を用いて実際に二置換フラーレン誘導体を合成し、電子材料などへの応用を行うことを目標とした研究を行った。
前駆体フラーレン化合物の開発に関しては、有機酸化剤を用い高い収率で目的のフラーレン誘導体を得る事が出来た。本法は毒性や材料物性への影響が懸念される重金属を用いないクリーンな合成法としても意義が高い。計算機を利用した基質の電子密度解析、反応性の検討により前駆体化合物の開発を行い、フローマイクロシステムによる合成を行った。
更に、得られた前駆体フラーレン化合物を用い、種々の異方性二置換フラーレン誘導体を合成した。得られた化合物の電位測定を行った結果、太陽電池に適用した場合高い電圧が得られる可能性が示唆された。これに関して、計算機システムにより分子構造解析を行ったところ、フラーレンと異方的に配置した二つの置換基が空間的な相互作用により高電圧化に寄与していることが分かった。また本誘導体は異性体を含まない単一化合物であり、容易に高純度化が可能であるため電子材料としての応用に適している。本研究で開発した前駆体フラーレン誘導体は広範な基質に対して適用可能であり、様々な構造の二置換フラーレン誘導体を得る事が出来る。今後は更に物性の向上、工業材料としての応用性を高めるため、異なる二つの置換基を段階的に導入する手法について検討を行う。
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