研究概要 |
エンジン部の直接センシングを可能にすることで自動車の燃焼効率を改善することが可能な燃焼圧センサには、希土類元素のランタン(La)及び希少元素のガリウム(Ga)、タンタル(Ta)を約90%含有したランガサイト型圧電結晶が用いられており、それらが燃焼圧センサの製造コストを増大させている。本事業では、希土類フリーのランガサイト型圧電結晶で既存の希土類含有圧電結晶を代替することによりランタン、ガリウム、タンタルの使用量の低減を試みた。 結晶育成にはランガサイト型圧電材料の1つであるCa3NbGa3Si2O14(CNGS)を用いた。純度4N以上のCaCO3, Nb2O5, Ga2O3, SiO2の出発原料を用いてCa3Nb(Ga1-xAlx)3Si2O14 x = 0.2, 0.3, 0.4, 0.6, 0.8, 1の仕込組成で秤量・混合した後、結晶育成を行った。 結晶育成の結果、x = 0.6までは透明な単結晶の育成に成功した。一方、x = 0.8以降は白濁した結晶しか得られなかった。育成した結晶の断面をSEMで観察した結果、x = 0.6までは、内部はほぼ単相になっており、外周部に一部不純物が見られる程度であった。一方、x = 0.8, 1に関しては、断面全体で不純物が多く発生していることが分かった。各試料の粉末XRD測定からは、x = 0.6まではランガサイト型構造のほぼ単相を示しており、Al置換量が増加するに従って格子定数が系統的に減少していることが分かった。これは、イオン半径の小さいAlがイオン半径の大きいGaを置換していることに起因すると考えられる。 Al置換したCNGS結晶の圧電特性を調べたところ、x = 0.6においてきれいな共振・反共振曲線が得られ、誘電率・圧電定数ともに良好な圧電特性を示すことが分かった。
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