研究概要 |
エンジン部の直接センシングを可能にすることで自動車の燃焼効率を改善することが可能な燃焼圧センサには、希土類元素のランタン(La)及び希少元素のガリウム(Ga)、タンタル(Ta)を約90%含有したランガサイト型圧電結晶が用いられており、それらが燃焼圧センサの製造コストを増大させている。本事業では、ガリウムサイトへのアルミニウム置換技術を確立させることで、更なるガリウム含有量の低減を試みた。これが達成した場合、素子が含有する上記元素は約1割まで低減する。 実際にAl置換ランガサイト型圧電結晶の育成を試みた。結晶育成にはランガサイト型圧電材料の1つであるCa3NbGa3Si2O14(CNGS)を用いた。まず、純度4N以上のCaCO3, Nb2O5, Ga2O3, SiO2の出発原料を用いてCa3Nb(Ga1-xAlx)3Si2O14 x = 0.2, 0.3, 0.4, 0.6, 0.8, 1の仕込組成で秤量・混合した後、アルミナ坩堝に充填した。混合粉末を電気炉で1200℃12時間以上焼成することによって焼結試料を得た。その焼結試料を坩堝内に充填し、μ-PD装置を用いて坩堝を高周波誘導で加熱した。育成中の結晶の状態はCCDカメラにより観察した。結晶の引き下げには、以前にμ-PD法で育成したCNGS単結晶を種結晶として用い、引き下げ速度0.05~0.1 mm/minで結晶育成を行った。 結晶育成野結果、x = 0.4までは透明な単結晶の育成に成功した。一方、x = 0.6以降は白濁した結晶しか得られなかった。育成した結晶の断面をSEMで観察した結果、x = 0.4までは、内部はほぼ単相になっており、外周部に一部不純物が見られる程度であった。一方、x = 0.8, 1に関しては、断面全体で不純物が多く発生しており、EDXにより組成分析を行った結果、ランガサイト型構造の相は見られなかった。
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