研究概要 |
本研究ではAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物(AA’3B4O12)について、固体化学的見地から合成、構造、誘電性、磁性との相関を系統的に調べ、これらの相関と化学結合の理解から材料設計指針を獲得し、高誘電性と磁性の制御により新規機能性材料の創製を行うために、特にACu3Ti4O12について、合成、構造、磁性、誘電性との相関から高誘電性発現の機構を明らかにすることを目的として実験を行った。得られた成果を以下に記す。 1. CaCu3Ti4O12系固溶体の合成、構造、磁性、誘電性 ACu3Ti4O12の誘電性について明らかにするために、高圧合成により異種元素をドープしたCaCu3Ti4O12の合成を試みた。CaCO3, CuO, TiO2を原料に用い、3-7.5GPaの高圧下での合成により、CaCu3Ti4O12系固溶体を得ることに成功した。異種元素のドープ量の増加に伴い、格子定数は連続的に変化し、A-OおよびCu-O 結合距離の増加が見られた。一方でTi-O結合距離の変化は小さかった。室温での誘電率は異種元素のドープ量の増加に伴いCaCu3Ti4O12の約20000から大きく減少したが、連続的な変化は示さなかった。一方で、磁化率はすべての試料で反強磁性を示した。組成の変化に伴うネール点の変化は見られなかった。 2. 新規Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の合成 新規Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物AA’3Ti4O12について、10種類以上の組成において、3-7.5 GPaの高圧下での合成を試みた。その結果、1つの組成で新規Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が得られた。今後、得られた物質について、組成と物性との相関を調べる必要がある。
|