研究課題/領域番号 |
23750246
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
伊藤 建 東海大学, 理学部, 講師 (50376935)
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キーワード | ハイブリッド材料 / 層状結晶 / ポリ酸 / 界面活性剤 / 伝導性 |
研究概要 |
前年度に引き続き、タングステン、モリブデン、バナジウムのポリオキソ酸水溶液と界面活性剤溶液を用いて、ハイブリッド層状結晶を合成した。合成溶液のpH、生成した沈殿を結晶化する際の溶媒および温度を適切に選択することにより、複数種のポリ酸-界面活性剤ハイブリッド層状結晶を単結晶として得ることに成功した。X線構造解析の結果から、いずれも新規化合物であることが明らかとなった。層状結晶中では、ポリ酸アニオンと界面活性剤カチオンが交互に積層した層状構造を有していた。 合成時に使用する界面活性剤を変化させることにより、ポリ酸アニオンの分子構造や組成を制御してハイブリッド層状結晶を合成できる条件を見出しているが、ヘテロ環式界面活性剤を用いると、アルカリ金属イオンを層間に取り込んだハイブリッド層状結晶を合成できることを見出した。リチウムイオンを結晶中に取り込んだハイブリッド層状結晶についても合成法を確立できてきており、本研究の目標であるリチウムイオンを層間に導入させたハイブリッド層状結晶の合成が実現しつつある。 また、これまでに合成してきたポリモリブデン酸のハイブリッド層状結晶の電気伝導性を検討したところ、250℃で10-5 S cm-1オーダーの電気伝導性を示すことを見出した。この電気伝導度はこれまでのポリ酸-界面活性剤ハイブリッド層状結晶では最高の値であり、ポリ酸アニオンが電気的に還元することにより伝導性が増大したと考えられる。一方、ポリバナジン酸のハイブリッド層状結晶については、プロトンを取り込んだハイブリッド層状結晶が合成できること、100℃以上の中温領域・無加湿条件下で10-5~10-4 S cm-1のプロトン伝導性が発現することを見出した。以上の伝導性に関する知見は、リチウムイオン伝導度の検討の際に基盤となると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状で目的とするリチウムイオン含有型ハイブリッド層状結晶の合成条件を見出している。結晶化に時間がかかるため、再現性の確認を含めて合成条件を最適化していくことにより、リチウムイオン含有型ハイブリッド層状結晶の合成法を確立できると考えられる。また、研究を遂行する過程で、ナトリウムイオンやプロトンを層間に導入したハイブリッド層状結晶を合成できることを見出している。これらの材料の伝導特性の検討を通じて、リチウムイオン電池や燃料電池をはじめとする二次電池向けの固体電解質や電極材料へ展開できると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに得られた結果を基に、リチウムイオン含有型ハイブリッド層状結晶の合成方法を確立し、X線構造解析と元素分析を行うことにより、組成および結晶構造を明らかにする。合成条件とリチウムイオン含有量の関係を明らかにしていく。平行してイオン伝導度の検討をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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