研究課題
本申請研究では、マイクロ波(および紫外線)を光触媒へ照射しながら表面フォノン(格子振動)および電子励起状態のin situ 観測を行うことができる分析装置を新規開発し、それらの観測結果から、マイクロ波が光触媒へ与える影響因子を追求することを目的とする。TiO2の試料調整として、マイクロ波効果が強く現れるデグサP-25とマイクロ波効果がない石原産業製ST-01を用いた。また、これらのTiO2へ窒素ドープや酸素欠損の処理も行った。マイクロ波と紫外線を同時にサンプルへ照射しながら市販の顕微ラマン分光光度計で測定できるユニットを試作した。試作には電磁界シミュレーターを用いた理論計算も取り入れた。マイクロ波および紫外線照射を同時照射しながらST-01のラマンピークをその場観察するとピーク強度が大きく変化した。これは、TiO2結晶格子の振動がマイクロ波によって誘発されるためである。しかし、酸素欠損や窒素ドープを行ったST-01を用いるとピーク強度の変化量は減少した。一方、P-25は酸素欠損や窒素ドープの有無にかかわらず、ピーク強度の変化は観測されなかった。さらに、これらの強度変化は酸素欠損や窒素ドープに伴うTiO2の結晶歪みにマイクロ波効果の応答性が現れることを突き止めた。次に、マイクロ波照射による光触媒内部の電子移動速度を検討した。マイクロ波導波管内に光触媒を塗布した石英板を入れ過渡吸収分光計でTiO2の電子移動速度を測定した。マイクロ波は磁場成分と電場成分を分離し各々サンプルへ照射した。マイクロ波を照射しながら光触媒内の電子移動速度を測定した結果、マイクロ波照射がないTiO2サンプルと同じスペクトルが観測された。これらの結果からマイクロ波は光触媒反応における電子移動速度を促進するわけではなく、結晶歪みに対してマイクロ波効果が発現し、そこから光触媒活性が向上することが分かった。
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