研究課題/領域番号 |
23750261
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
堺井 亮介 旭川工業高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (90507196)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | π共役系ポリマー / キラル / 比色分析 / 超分子化学 / ホスト・ゲスト相互作用 / ポリアセチレン |
研究概要 |
本研究では、医薬品やエレクトロニクスなどの多岐にわたる産業および有機化学を初めとする幅広い学術分野において今日強く求められている「キラリティーの迅速分析」を達成する革新的手法を確立するために、π共役らせんポリマーの優れたキラル認識能を活用し、「目視による迅速かつ簡便なキラル分析」を可能とする実用的高分子センサー材料を開発することを目的とした。具体的には、キラルレセプターを有するπ共役らせんポリマーを精密合成し、キラル物質に対するポリマーの色調変化を詳細に評価した。特にキラル認識能や検出感度に焦点を絞り、得られた結果を分子設計にフィードバックすることで、センサーポリマーの最適構造を探索した。多種多様なセンサーポリマーを設計、合成し、ポリマー構造とキラル認識能の関係を調査することで、センサーポリマーの最適化を図った。この様な検討を通して、実際に、レセプターとしてキラルなウレア基を有するポリ(フェニルアセチレン)が、光学活性カルボキシレートのそれぞれのエナンチオマーに対し、異なる色調変化を示すことを見出した。これは、このポリマーを利用することで、カルボン酸やアミノ酸を含む様々な光学活性化合物のキラリティーを色調から目視で識別できることを意味している。また、この色調変化は光学活性化合物の光学純度(ee%)にも依存していることが明らかとなった。従って、当該年度、本研究では、目的であるキラルセンサー材料に応用可能な基盤物質の創製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初達成を目指した、それぞれのエナンチマーに対して異なる色調を示すπ共役系ポリマーの合成に成功した。また、光学純度を比色分析できる可能性を示唆させる成果も得られている。さらに、分子設計と色調変化の関係性が明らかになりつつあり、センサー材料の開発にとって有用な様々な知見が得られた。従って、本研究では当初の目的を十分に達成しており、計画以上の進展が達成されたと言える。また、これらの研究成果は複数の学会等で発表されており、関連分野の進展および領域の拡大に大きく貢献したものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度、光学活性カルボン酸やアミノ酸に対して異なる色調変化を示すπ共役らせんポリマーの合成に成功した。今後の目標は、適用可能なキラル化合物の範囲を広げること、および最適構造のπ共役ポリマーから実際の使用条件を念頭に置いたキラルセンサー材料を創製することである。具体的には、酸・塩基相互作用や各種ホスト・ゲスト相互作用を利用し、分析可能な光学活性化合物の適用範囲を拡張する。この際、キラルレセプター部位を含むポリマー構造の設計が大変重要である。まずは、様々な分子設計を施したセンサーポリマーを合成、評価し、最適化を図る。また、実際の使用条件を念頭に置き、最適構造のπ共役ポリマーからフィルムやゲルを含む固体状のセンサー材料を創製し、色調変化を評価する。最終的に、π共役らせんポリマーからなる固体状のセンサー材料が「目視による迅速かつ簡便なキラル分析」の手法として現実に利用できることを実験的に証明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定では、目標とする「光学活性カルボン酸やアミノ酸に対して異なる色調変化を示すπ共役らせんポリマー」の合成が困難であり、様々なπ共役らせんポリマーを試行錯誤的に合成、評価し、徐々に最適構造を模索する予定であった。しかし、幸運にも研究の初期段階でそのようなポリマーの合成に成功したため、当該年度は色調変化の評価に注力した。従って、当初計上していた化学試薬や溶媒等の消耗品を購入する必要がなくなったため、当該年度の支出額は当初のそれより少なくなった。次年度では、分析可能な光学活性化合物の適用範囲を拡張する予定であるため、今年度使用しなかった予算を使用し、消耗品等を購入する。また、実際の使用条件を念頭に置いたセンサー材料の創製は、当初より次年度で行う計画であったため、次年度に計上した予算は主にセンサー材料の創製に充てる予定である。
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