研究課題
本研究では、産業、学術を問わず幅広い分野において今日強く求められている「キラリティーの迅速分析」を達成するために、π共役ポリマーの優れたキラル認識能を活用し、「目視による迅速かつ簡便なキラル分析」を可能とする実用的高分子センサー材料を開発することを目的とした。具体的には、様々なキラルレセプターを有するπ共役ポリマーを精密合成し、キラル物質に対するポリマーの色調変化を詳細に評価した。キラルなウレア基やアミド基を有するポリ(フェニルアセチレン)は光学活性カルボキシレートのそれぞれのエナンチオマーに対し、異なる色調変化を示すことを見出した。これは、このポリマーを利用することで、カルボン酸やアミノ酸を含む様々な光学活性化合物のキラリティーを色調から目視で識別できることを意味している。紫外可視吸収スペクトルでは、ポリマー主鎖に由来する吸収において明瞭なレッドシフトが観察された。また、円二色性スペクトルにおいても劇的なスペクトル変化が生じた。これらのことから、色調変化は主鎖共役系の変化と密接に関連することが明らかとなった。さらに、この色調変化は光学活性化合物の光学純度(ee%)にも依存していることが明らかとなった。従って、当該ポリマーの色調から光学活性化合物のee%を見積もることが可能であることがわかった。以上のように、本研究では、目的であるキラルセンサー材料に応用可能なポリマーの創製に成功したと言える。
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Macromolecules
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