研究課題
本研究では、金属格子上での伝播型表面プラズモンと有機薄膜中に分散させた金属微粒子による局在表面プラズモンを同時に励起し、その相互作用により入射光エネルギーを飛躍的に増大する新たな方法を用いた、高効率太陽電池デバイス応用に関する基礎・応用的な研究を行うことを目的とした。前年度までに、FDTDシミュレーション、金属微粒子の金属格子からの距離変化による表面プラズモン共鳴特性、金微粒子または銀微粒子を分散させた酸化チタン/色素薄膜を用いた光電変換特性について評価を行い、5倍程度の光電流増大を得ることができた。この成果を基に、最終年度は伝播型表面プラズモンと局在表面プラズモンの相互作用における電界増強効果について種々の構造を用いて評価を行い、効率的なデバイス設計の指針を得るべく実験を推進した。金微粒子を坦持した酸化チタン微粒子を作製し、酸化チタン上の金微粒子の濃度を変化させることで、デバイスの最適化を行った。その結果、金微粒子の濃度1at%の時において、金属格子/金微粒子坦持酸化チタン薄膜/色素/電解質の系において約7倍もの光電流増大に成功した。さらに金微粒子の濃度を上げていくと、今度は金微粒子の光吸収が大きくなるために、光電流増大が減少していくことが分かった。また、ナノリンプリント法を用いた有機薄膜上への格子構造の作製も試みた。PDMSスタンプを用いてPEDOT:PSS/P3HT:PCBM上へナノインプリントを行い、格子間隔320nm、格子高さ約20nmの格子構造を得ることが可能となった。これにより、通常の有機薄膜太陽電池構造、ITO/PEDOT:PSS/P3HT:PCBM/Alに金属格子表面プラズモン共鳴電界増強を組み込むことが可能となった。これらの結果は国際論文誌4件、国際会議10件、図書4件で報告を行うなど国内外に成果を発信した。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (12件) 図書 (4件)
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