研究課題/領域番号 |
23760012
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
加藤 正史 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362317)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 4H-SiC / キャリアライフタイム / 点欠陥 / 電子線照射 |
研究概要 |
研究実施計画に則り、平成23年度においては電子線照射を施したn型4H-SiC試料に対して、深い準位過渡応答(DLTS)測定およびマイクロ波光導電減衰(μ-PCD)測定を試み、それらのアニール温度依存性を観測することを目指した。ここで、DLTS測定にあたり、試料にショットキーおよびオーミック電極を形成する必要があるが、電子線照射の影響により試料の抵抗率が上昇しオーミック電極の作製に困難が生じた。そのため、オーミック電極作製条件の模索を行うと同時に、オーミック特性が不十分な状態でもDLTS測定が実施できる実験技術の模索も行った。その結果、DLTS測定におけるSN比を上げることで不十分な特性のオーミック電極を用いてもDLTSスペクトルが観測できるという手応えを得た。なお、μ-PCD測定に関してはオーミック電極なしで実施可能なため、キャリアライフタイムの観測は問題なく実施できている。平成23年度終了時現在、試料に対するアニール温度によるDLTSスペクトルおよびキャリアライフタイムの変化を観測している最中である。なお、平成23年度において上記の電子線照射を施したn型4H-SiCに対する観測のみならず、低エネルギーの電子線照射を施したp型4H-SiCの深い準位およびキャリアライフタイムの観測に成功しており、一方で電子線照射なしのn型4H-SiCにおける表面再結合速度の見積もりも達成している。従って、本研究の目的である4H-SiC中の点欠陥の電気的影響解明およびキャリアライフタイム制御プロセスの確立をする上で重要なデータを得ていることを付記する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記のように、DLTS測定にあたり、試料にショットキーおよびオーミック電極を形成する必要があるが、電子線照射の影響によりオーミック電極の作製に困難が生じ、その解決に時間がかかった。現在では、計画より遅れ気味ではあるが、順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、電子線照射を施したn型4H-SiC試料に対するアニール温度によるDLTSスペクトルおよびキャリアライフタイムの変化を観測していき、n型4H-SiCのキャリアライフタイムを支配している点欠陥の解明を目指す。また、p型4H-SiCの入手および電子線照射を行ない、p型試料においても同様の情報を得ることを試み、キャリアライフタイム制御プロセスの確立までつなげていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費はp型4H-SiC試料の購入および、研究成果発表のための国際会議参加旅費・論文掲載費として利用する予定である。
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