研究課題/領域番号 |
23760036
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 大輔 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 准教授 (40444864)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | ZnO / ナノ結晶 / PLD / 配列制御 |
研究概要 |
ZnOは,低環境負荷材料であるとともに優れた紫外線発光効率を有することから各種光電子デバイスへの応用が期待されている.本研究では,従来のZnO薄膜では達成し得ない結晶性と光電子デバイスのアセンブリにおける利点を有するZnOナノワイヤ成長位置制御技術を確立することを目的とし,研究を行なった.平成23年度の研究成果は以下の通りである.(1)干渉光学系を用いたレーザー照射装置の開発:透過型回折格子とレンズ列を組み合わせた干渉レーザー照射装置の開発を行なった.具体的には,透過型回折格子を用いてレーザー光を4つのビームに分岐し,それを1点に集光することで干渉パターンを得ることができる.それぞれのビーム強度を変調することで様々な干渉パターンが実現できることを確認した.最小ピッチ5.6umの干渉パターン照射が可能であることがわかった.(2)ZnOバッファ層の膜厚依存性およびレーザー照射効果の調査:ZnOバッファ層を設けることで六角錐状の結晶核上にZnOナノワイヤが成長することがわかっていたが,バッファ層の膜厚を変化させることで成長密度が変化することが明らかとなった.次に,レーザー照射によるバッファ層上にZnOナノワイヤを成長させたところ,低密度化することが分かった.バッファ層の堆積時間およびレーザー照射によってバッファ層の表面状態が変化していることを示唆する結果が得られた.(3)配列ZnOナノワイヤの作製:開発した干渉レーザー照射装置を用いて,バッファ層への照射実験を行なった.その結果,バッファ層の表面に干渉パターンのピッチに対応したレーザー照射が成されたことが確認された.さらに,このレーザー照射バッファ層上にZnOナノワイヤの成長を試みた.その結果,干渉パターンの各スポット周辺部にZnOナノウォールが作製されており,照射パターンに対応したZnOナノ結晶を成長することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H23年度の計画である干渉レーザー実験装置の開発およびバッファ層の調査を経て,H24年度の計画に予定していた配列ZnOナノワイヤの作製のための初期実験にも取り組むことができたため.
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今後の研究の推進方策 |
配列ZnOナノワイヤの初期結果が得られたことを踏まえて,今後は干渉レーザー照射強度を変化した際の配列ZnOナノワイヤの成長に及ぼす影響を調査する予定である.および,4光束レーザー干渉のみに留まらず,多光束干渉パターン照射への展開も試みる.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用には下記の項目を計画している.物品費:多光束干渉パターン照射のための透過型回折格子およびレンズなど光学部品等に使用する.旅費:国際学会2回,国内学会4回へ参加する.その他:会議登録料,研究成果投稿料に使用する.
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