ZnOは,資源的に豊富で,環境にも優しい低環境負荷材料であるとともに,優れた紫外線発光効率を有することから各種光電子デバイスへの応用開発が国内外を問わず活発に行なわれている.本研究では,従来のZnO薄膜では達成し得ない結晶性と光電子デバイスのアセンブリにおける利点を有するZnOナノワイヤ成長位置制御技術を確立することを目的とし,研究を行なった.平成24年度の研究成果は以下の通りである. (1)「新規ビームスプリッターを用いた干渉光学系レーザー照射装置の改良」回折角の大きな新規ビームスプリッターを導入した干渉レーザー照射装置の開発を行なった.それにより,従来の干渉パターンピッチに比べて1/3程度の加工が実現でき,さらに1ショットで加工される領域を20倍程度に増大できた. (2)「レーザー照射によるZnOバッファ層の表面変化の調査」レーザー照射によりZnOバッファ層に加工痕が形成されるが,加工痕とZnOナノワイヤの成長位置を詳細に調査すると,レーザー照射により形成された加工縁部の隆起の内側に集中して成長していることが明らかになった.原因の特定には至っていないものの,レーザー照射によるZnOバッファ層表面の形状変化に加え,表面組成変化,結晶サイズ変化,局所的結晶歪みの形成,が結晶核形成に寄与していることが推測される.これらの結果をさらに調査することで未解明点のあるZnOナノワイヤの成長メカニズムを明らかにできる可能性がある. (3)「配列ZnOナノウォールの作製」開発した干渉レーザー照射装置の空間フィルタを変更して,直線状に配列したZnOナノウォールの作製に成功した.さらに,作製したナノウォールにおいてパルスレーザー励起によるレーザー発振を確認し,紫外発光ナノデバイスへの応用の可能性を実証した.
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