研究課題/領域番号 |
23760039
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
前川 雅樹 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究員 (10354945)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 陽電子マイクロビーム / 空孔型欠陥 / 空間分布 / EBIC測定 / 欠陥準位 / 再結合中心 |
研究概要 |
本研究では、我々がこれまで開発した世界最高レベルの収束度を持つ陽電子マイクロビーム装置に、電子ビーム誘起電流(EBIC)測定回路を付加することで、半導体試料に存在する欠陥の評価を行うことを目的としている。まず最初に、EBIC法で欠陥分布と形状を検出し、陽電子消滅法で欠陥種を同定することで欠陥構造を知ることが可能となるシステムを構築する計画である。使用する陽電子マイクロビーム装置はすでに稼動している。H23年度ではEBIC測定を行うための検出システムを準備した。測定システムの動作検証として、マスキングを施すことで部分的に水素イオン照射(200keV)を行ったシリコン試料を準備した。これに対し、EBICを測定するための高感度電流計を接続し、マイクロビーム装置に備えられた電子銃からの電子ビームを入射させて誘起電流を発生させ、試料を平面的に走査することでEBICの二次元分布イメージを取得した。同様の試料に対し、陽電子マイクロビームでも二次元走査を行い、消滅ガンマ線のエネルギー分布変化の空間分布を取得した。EBIC法では、イオン注入領域で誘起電流の減少がみられた。一方、陽電子マイクロビーム測定では、イオン注入領域で空孔型欠陥由来と思われるシグナルを検出した。これは、誘起電流減少を引き起こす再結合中心が、空孔型欠陥と関連があることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では、2次電子検出器が有効な位置に設置できないという問題を解消するため試料直前に穴あきMCPを設置する予定であったが、取り付け配置の問題から十分な検討が出来ず、今年度は見送った。試料作成についても十分行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
イオン注入試料の作成を進める。シリコンの熱酸化膜形成後に部分的に照射損傷を導入した試料に、金属電極を蒸着し金属-酸化膜-半導体(MOS)構造形成したものを用い、陽電子マイクロビームによる欠陥評価およびEBICによる誘起電流の変化を測定する。多種の試料を作成することで、照射ドーズ依存性、注入後の熱アニール依存性などの測定を行う。可能であれば、自己イオン照射、高拡散速度の金属イオン照射なども検討する。そのためのイオン注入のマシンタイムも確保できている。試料構造としては、シリコンなどの半導体基板にPN接合を形成したもの、あるいは酸化膜形成後に金属を蒸着し金属-酸化膜-半導体(MOS)構造を形成したものを作成し、EBIC法あるいはSEM観察によって検出される欠陥コントラストと陽電子消滅法から決定できる欠陥構造との対比を行う。可能であればSDLTS法とのデータ比較を行い、欠陥準位が由来する構造欠陥を決定を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
試料作成用の消耗品の購入、試料となる半導体基板(炭化ケイ素)の購入を行う。また、可能であれば高解像度に試料観察が可能なカメラを整備する。成果を発表するため、応用物理学会などへの出張旅費、国際会議で発表するための外国出張旅費など。
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