研究課題
今年度は、時間領域量子もつれ光子波束操作に向けた光子-光子間の周波数量子相関制御としての一つとして、量子相関を持たないように制御した二光子生成に関して進展が得られた。群速度整合条件を満たしたPPKTP (Periodically Poled KTiOPO_4)素子は正の周波数相関を伴う量子もつれ状態を生成することが可能な素子として提案されたが、周波数無相関状態を持つ二光子状態を生成することも可能である。群速度整合は線形光学定数により決定されるため、分極反転技術で制御することはできない。つまり、群速度整合条件を満足させる波長は使用する結晶の屈折率分散特性によって一意に決定されてしまう。そのためスペクトル純度の高い単一光子状態を広帯域に渡って維持することは難しいように思われるが、群速度整合条は、見方を変えると広帯域第二高調波発生として捉えることもできる。このことは、周波数無相関状態を広帯域渡って維持させることが可能であることを意味している。そこで、群速度整合PPKTPから生成された二光子が、広帯域に渡って無相関状態を維持していることを実験的に確かめるため、ポンプ光の波長を変えながら二光子スペクトルの測定を行った。その結果、発生した各光子は1565nmから1615nmの領域で0.81以上の純度を維持していることが確かめられた。さらに、同一の仕様を満たした二つの群速度整合PPKTPから、偶発的に一対ずつ生成された光子に対して差周波型の量子干渉実験を行い、明瞭な量子干渉波形が観測されていることを確かめた。この結果は、群速度整合PPKTP素子から放出された周波数無相関二光子状態が、多量子ビットの量子情報通信プロトコル実証実験へ適用可能であることを示した。
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