本年度は、ナノイメージングのための予備実験として、単一の金微粒子周囲のプラズモン増強場のイメージングを行った。サンプルとして直径50 nmの金微粒子を用いた。まずシランカップリングによりカバーガラス上に金微粒子を固定した。次にスピンコート法によりアゾ系ポリマーフィルムを塗布した。原子間力顕微鏡(AFM)による測定の結果、フィルムの膜厚は29 nmであった。またAFMの位相像より、微粒子の直上にはフィルムがなく、微粒子が剥き出しの状態であることが分かった。このサンプルに波長532 nmのレーザー光を照射した。その際光強度分布が面内に一様になるように、入射光を平行光とした。偏光はフィルム面内に平行な直線偏光を用いた。入射光強度として、15 mW/cm2を用いた。FDTDによる計算結果から、金微粒子近傍に光強度として約7倍の増強近接場光が発生することが分かった。またその増強近接場光は金微粒子の両脇(入射偏光方向)に局在していることが分かった。光照射後のAFM像より、ポリマー表面に入射偏光方向に対して平行に且つ金微粒子の両脇に凹みが形成されていることが分かった。光誘起異方流動性によって、ポリマーが偏光方向に且つ光強度の強い金属微粒子両脇から光強度の弱い金属微粒子周囲に移動したと考えられる。またポリマー表面の凹凸から評価した光強度分布はFDTDによる計算結果とよく一致した。つまり本手法による近接場光マッピングの有効性が確認できた。
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