フィルム表面に対して垂直な偏光(Ez偏光)による光誘起ポリマー移動には、相反する二つの力(光勾配力と光誘起異方誘導性)が関与していることが分かった。また照射する光の波長を変化させることで、側鎖であるアゾ基に作用している光勾配力より、ポリマー主鎖に作用している光勾配力の方がポリマー移動に寄与していることが分かった。さらに、光誘起ポリマー移動を利用して、単一の金微粒子(50 nm)周囲の増強近接場光分布のナノイメージングを行った結果、ポリマー表面に入射偏光方向に対して平行に且つ金微粒子の両脇に凹みが形成されることが分かった。光誘起異方流動性によって、ポリマーが偏光方向に且つ光強度の強い金属微粒子両脇から光強度の弱い金属微粒子周囲に移動したと考えられる。またポリマー表面の凹凸から評価した光強度分布はFDTDによる計算結果とよく一致したことから、本手法の有効性を確認できた。
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