本研究は可視域大面積メタマテリアルシートの実現を目指し、常磁性体と反磁性体の外部磁場印加に対する磁場応答性を利用した、メタマテリアルの構成要素であるプラズモン共鳴構造の自己組織的一括作製技術の確立に取り組んだ。 昨年度までに、磁場アセンブリ法により土星状プラズモン共鳴構造を一括大量作製する技術を確立したが、個々の共鳴構造の位置を制御出来ないため、欠陥構造の発生率が高いという問題が生じていた。本年度は、常磁性体からなるアンカースポットを配した基板を発案し、外部磁場印加により、共鳴構造を自発的にアンカースポット上に配列させる技術を確立した。フォトリソグラフィー法による描画とニッケルの真空蒸着により、ガラス基板上に共鳴構造断面積と同程度のニッケルスポットを形成し、この基板上で磁場アセンブリを行うと、外部磁場印加と共に常磁性中心球がニッケルスポット上に移動し、そこで共鳴構造が形成された。ニッケルスポットを正方格子、多角形状に配列するとそれに従った共鳴構造の2次元配列が得られた。これにより、個々の共鳴構造と入射光との相互作用だけでなく、2次元配列構造全体での干渉効果を利用した新規光学特性の発現も視野に入れられるようになった。
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