研究課題/領域番号 |
23760078
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
石原 大輔 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (80363399)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マイクロマシン / MEMS / 有限要素法 / 連成解析 / マルチフィジクス / シミュレーション / 構造‐流体‐静電界連成 |
研究概要 |
マイクロマシンにおいては,マイクロ化に伴うスケール効果により,構造,流体および静電界の3 つの現象が強く連成するので,マイクロマシンを合理的に設計するための信頼性の高い汎用マルチフィジクスシミュレータが必要とされている.そこで本研究においては,マイクロマシンの研究開発に寄与するために,一体型解析と分離型解析の利点を兼ね備えた新しいハイブリッド強連成解析に基づくマイクロマシンの汎用マルチフィジクスシミュレータを開発する.さらにそれを複数の典型的なマイクロマシンに適用し,本シミュレータの有効性を,実験との比較に基づき,定量的に検証する.平成23年度に実施した研究の成果は,次の3点である.1.ハイブリッド強連成解析の非線形への拡張:修正子による多重修正ループを導入し,ハイブリッド強連成解析を非線形方式の増分型定式化に対応させた.これにより,本ハイブリッド強連成解析が,マイクロマシンにおける非線形の構造‐流体‐静電界連成に適用可能になった.2.ハイブリッド強連成解析の構築:1のハイブリッド強連成解析をコード実装し,それが強連成解析を実現することを計算負荷の低い2次元問題の範囲で検証した.これにより,本ハイブリッド強連成解析の有効性が示された.3.マイクロマシンの汎用マルチフィジクスシミュレータの開発:2のハイブリッド強連成解析コードを3次元化することにより,マイクロマシンの汎用マルチフィジクスシミュレータの開発として,そのコード実装を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイクロマシンの汎用マルチフィジクスシミュレータの開発として,そのコード実装がほぼ終了したため.
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今後の研究の推進方策 |
本シミュレータを典型的なマイクロマシン(例えば,マイクロ振動子,クシ歯型マイクロアクチュエータ等)に適用し,実験結果との比較に基づき,その信頼性を定量的に検証する.ここで本学マイクロ総合化技術センターからの協力を受けることにより,マイクロマシンの作成を効率化し,その費用を最小限に抑える.本シミュレータを多面的に評価し,その信頼性を十分に確保するために,様々なマイクロマシンを用いることに加え,静電界連成効果と空気連成効果の大きさを,それぞれ高速度プログラマブル電源と真空チャンバーにより,変化させる.3次元3連成解析の計算負荷は極めて高いので,本シミュレータをPCクラスタ等の高性能計算機に実装することにより,その問題を回避する.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費として,シミュレータ用高性能計算機,旅費として,調査研究,成果発表,その他として,マイクロマシン材料,マイクロマシン作成設備使用料,マイクロマシン実験の電気機械部品等を予定している.わずかであるが,次年度使用額が生じた状況は,ハイブリッド強連成解析の検証実験のための消耗品費の変更である.従って,その使途は,マイクロマシン実験のための消耗品費とする.
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