研究課題/領域番号 |
23760085
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
村澤 剛 山形大学, 理工学研究科, 助教 (90348467)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 複合材料 / 材料設計 / 物性評価 |
研究概要 |
平成23年度では、基礎となる溶媒キャストによるナノClay分散型Poly(vinylidene fluoride)複合材料の作成法を確立した。具体的な内容は以下のようである。(a)ナノClay/PVDF複合材料の作成(溶媒キャスト法):PVDF粉末、有機化Clay及びN,N-ジメチルホルムアミドをスターラーで攪拌・混錬した後、乾燥器内で溶媒のみを蒸発させることでナノClay/PVDF複合材料を製膜した。結果として、膜厚5μm~30μm程度の良好なフィルム素子を作成することができた。(b)X線測定(構造解析):既存設備品のX線構造解析装置により、ナノClay/PVDF複合材料フィルムの構造解析を行った。得られた結果から、素子の結晶構造・複合化形式・Clay配向を評価することができた。得られた複合材料フィルム素子はベータ構造を持っていた。(c)分極の可否測定:自作のSawyer-Tower Bridge回路からなるシステムによりD-E測定を行った。複合材料フィルム素子のD-E曲線はヒステリシス形状となり、素子が分極していることを示した。(d)共振周波数測定:インピーダンスアナライザを用いて素子のインピーダンスと周波数の関係を測定した。100kHz~50MHzの周波数範囲でのインピーダンス特性を調べた結果、作成された複合材料フィルム素子は測定周波数範囲で共振周波数を持たないことがわかった。(e)誘起振動測定:±7V程度の振幅電圧で100kHz~30MHzの周波数範囲の正弦波を素子に印可し、誘起された振動をレーザドップラ振動計で計測した。結果として、印可した正弦波に対応する誘起振動が測定された。得られた誘起振動の強度は低い値であるが、センサ・アクチュエータ素子としての可能性を十分に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
23年度に予定していた「ナノClay分散型Poly(vinylidene fluoride)複合材料の作成法の確立」に著しい進展があった。国際誌(Journal of Intelligent Material Systems and Structures)にその結果を発表するとともに、24年度開始予定の「飛躍的性能向上(=革新的ナノクレイ配向制御)をねらいとする新規提案の濃度コントロールキャスト法の開発」に着手し始めた。
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今後の研究の推進方策 |
23年度に引き続き、「飛躍的性能向上(=革新的ナノクレイ配向制御)をねらいとする新規提案の濃度コントロールキャスト法の開発」を行う予定である。乾燥過程中に液滴を自動滴下するシステムを乾燥器中に作成し、液滴追加により高分子溶液の濃度制御(乾燥温度、液滴量・濃度、液滴投下位置等の制御)を行うとともにナノClay/PVDF複合材料フィルムを作成し、フィルムの最終形状および素子性能の最適な条件を決定していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度にほとんどの研究備品を購入することができたので、24年度では少量の研究備品と消耗品のみ必要となる。また、国内外の学会に参加するため、研究成果発表・情報収集の旅費を必要とする。内訳予定は以下のようである。備品:20%、消耗品:20%、旅費:60%
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