研究概要 |
本研究では, Phase-Field法を用いて鉄鋼材料中の複相組織の形態や各相の空間分布, 残留応力分布を予測するとともに, その予測結果を基に鉄鋼材料の力学特性を定量的に評価可能な組織・特性評価シミュレーション法を確立することを目的としている. また, Graphics Processing Unit (GPU)による超多スレッド数値計算法を用いて上記シミュレーションの高速化, 強連成解析を可能とすることで, 相変態を伴う鉄鋼材料の塑性加工シミュレーションを実現する. 本年度においては、ほぼ当初の研究計画通りに、熱間加工されたオーステナイト相におけるフェライト変態挙動を予測するための結晶塑性有限要素法とMulti-Phase-Field法を用いたマルチスケールモデルを構築した。本モデルを用いることで、オーステナイト相への加工がフェライト粒径に及ぼす影響を明らかにできるなど、鉄鋼材料の高機能化につながる有益な知見が得られた。 また、構築したマルチスケールモデルにおいて、フェライト変態のMulti-Phase-Fieldシミュレーションを効率的に行うために、GPUによる高速計算手法を確立し、従来のCPUによる計算の15倍の高速化を達成することができた。これにより、来年度以降のMulti-Phase-Field法を用いた複相組織形成の3次元シミュレーションが可能となることが期待される。
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