1)非定常熱伝導問題に対して,数学的均質化法にもとづく定式化を再構成し,現象を記述する物理パラメータのオーダに応じて,得られる2変数境界値問題が変化することを示した.従来の均質化法の定式化では,マクロ非定常・ミクロ定常という組み合わせだけであったが,物理パラメータの大きさを考慮することによって,ミクロ・マクロともに定常問題となる支配方程式,マクロ定常・ミクロ非定常という組み合わせの境界値問題が得られることを示し,数値解析例によってそれらの妥当性を確認した. 2)ミクロ構造によく見られる異種材料界面での物理現象(接触熱抵抗)を考慮した定式化を行うことによって,従来の均質化法の定式化では表現することのできなかった,ミクロ構造の寸法効果を表現できる定式化を提示した. 3)連続体熱力学の立場からさまざまな物理現象に対する統一的な支配方程式を導出する「変態・熱・構造」に基づいて,相変態を考慮した熱・構造連成の支配方程式を導出し,それに上述の新しい均質化理論の定式化を導入することによって,相変態を考慮したマルチスケール解析のためのミクロ・マクロ境界値問題を導出した. 4)この2変数境界値問題を有限要素法で離散化し,相変態を考慮したマルチスケール解析の定式化を行うとともに,それを実現するためのマルチスケール解析プログラムを開発した.
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