研究課題/領域番号 |
23760104
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
熊谷 進 仙台高等専門学校, マテリアル環境工学科, 准教授 (30390389)
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キーワード | 損傷 / キャビテーション / 繊維強化プラスチック / 高圧タンク / 液化タンク |
研究概要 |
ガラス繊維強化プラスチックを対象に、開発したキャビテーション負荷装置でキャビテーションを繰り返し発生させ、試験片表面に生じる損傷について評価を行い、以下の成果を得た。 1.超音波探傷器によるキャビテーションによる損傷の検出に関して、浸漬方式を採用し、評価の結果、未損傷と損傷材の比較において、試験片縁の近傍で減衰に有意な差が表れた。また、飛行時間に関しても未損傷材と損傷材で変化があった。しかしながら、損傷と飛行時間の定量的な関係についてさらに検討を要する必要があり、次年度FFTを用いた周波数解析に取り組む。 2.繊維強化プラスチックのキャビテーションによる表面損傷は母材である樹脂の損傷に大きく依存すると考え、ラマン分光法による表面損傷の評価を行った。繊維強化プラスチックでは蛍光が強く測定が困難であったため樹脂単体の測定を行い、表面に損傷を受けるとわずかにシフトすることがわかった。損傷量とラマンシフトの関係について、次年度により詳細な評価を行う。 3.液体窒素温度におけるキャビテーション損傷の実験を行った。ガスによる冷却(113 K)と液体窒素浸漬冷却(77 K)では試験片の重量変化はなかったが、浸漬中に試験片近傍でヒーターにより発生させたバブルを断続的に100回与えると重量が減じた。次年度は貼り付け型の圧力センサーを用いて試験片表面の圧力変化を測定し、試験方法も含めてより定量性を得られる評価を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タンク内圧の変化によって生じるキャビテーションによる(炭素・ガラス)繊維強化プラスチックの損傷機構を明らかにしつつあり、超音波探傷器による損傷評価の他、ラマン分光法による評価も加え、一部成果を得ており、キャビテーションによる損傷の定量的評価法の確立に向けて見通しは明るい。
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今後の研究の推進方策 |
申請時に予定していた計画に加えて、本年度の結果を受けて、ラマン分光法にも取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
申請時に予定していた有限要素解析ソフトの他、試験片表面の圧力変化を測定するための圧力測定装置の開発に用いる。
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