アルミナイド系金属間化合物は高温強度と耐酸化性に優れているが、塑性加工性に乏しく、製品形状の付与に対して塑性加工を適用することが困難とされている。これまで、精密鋳造や粉末冶金による製造プロセスは開発されているものの、塑性加工プロセスで実用化されている例はない。本研究では、積層クラッドと熱処理を用いて、金属素材の試料に形状を付与し、これを熱処理することで、金属間化合物を合成する製造プロセスを開発した。H23年度のNi-Al系金属間化合物の製造に続いて、H24年度はTi-Al系金属間化合物の製造を試みた。合わせて、Ni-Al系金属間化合物に関してミクロ組織の変化過程を詳細に把握した。Ti-Al系ではAlの融点以上に加熱することで、Ti基材と溶融Alの固相-液相間に燃焼合成反応が起こり、金属間化合物が生成することが分かった。ただし、側面からAlの融液が流れ出るため、厚さ0.05mmのTi箔と厚さ0.05mmのAl箔の薄い箔状試験片を用意し、Ti箔は10mm×20mm、Al箔は8mm×18mmに切断して試料片にした。加熱温度は973Kから1173K、加熱時間は300sとした。973KではAlの残留が確認され、Ti基材とAlの界面付近のみに金属間化合物の生成が確認された。1073KではほぼAlが消滅しているものの、Alが存在した領域には粒子状の金属間化合物(Al3Ti)が生成し、Ti基材の残留が確認された。1173KではAlと粒子状金属間化合物の生成が認められないものの、試料がTi基材ごとに剥離して一体にならないことが分かった。そこで、TiとAlを積層させた段階で荷重2tを300sほど負荷して試料間の密着性を高め、反応への影響を調査したところ、1173Kで試料の剥離は改善されなかったが、Ti基材は平坦になる割合が増え、燃焼合成中に試料が凹凸状に変形する割合が低減できた。
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