研究課題/領域番号 |
23760109
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
朱 疆 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70509330)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | CG画像簡略法 / CAM / 加工支援システム / 多分解能メッシュ / 粗加工 / 三次元モデリング |
研究概要 |
製品の設計,製造を効率化するためにCAD/CAMシステムが広く使われるようになっている.しかし,現在のCAMシステムは扱うのに豊富な経験と知識を必要とし,効率的な加工パスを作成することは困難である.加工を高効率に行うために,CADモデルの形状を分析し,最適な加工方法を選定し,最適な加工条件を選択する必要がある.一方,コンピュータグラフィックス(CG)の分野では,三次元モデルの画像処理に関する研究が盛んであり,三次元モデルの特徴分析,簡略,分割,比較などの技術が進んでいる.そこで,本研究では,三次元形状を表現したモデルに対して,CG画像処理技術を応用し,CG画像処理技術とCAMシステムを有効に融合することにより,より高効率な加工パスを生成ることができる新しい加工支援システムの開発を目指している.平成23年度では,まず,CG画像簡略化技術を応用し,加工工程を考慮した粗加工支援システムの開発を行った.本研究で開発した粗加工支援システムは従来の加工法と異なり,オフセットと多分解能メッシュを利用して,オリジナルモデルから段階的に,粗加工に適した単純なモデルに変換する.粗加工する時に大きな面で構成された粗加工モデルを使用して加工パスを計算することにより,粗加工パスは長い直線の組み合わせで表すことができる.すなわち、径が大きいエンドミルを使うことができ、短時間に粗加工することができる.また,生成した工具経路の確認,及び開発した方法の評価を行うため,加工と計測の実験環境を構築した.今年度で購入した三次元測定機と東京工業大学に設置しているCNC複合加工機を用いて,シミュレーションと基礎的な加工実験を行った.シミュレーションの結果より,複雑な自由曲面を持つモデルに対して,本研究で提案した粗加工法は従来の加工法より,約30%の加工時間を削減することが可能だと確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度では,まず,提案した加工支援システムを開発するための開発環境を構築し,CG画像簡略化技術を用いて,粗加工支援システムの開発を行った.これと並行で,CG画像分割技術を用いた仕上げ加工支援システムとCG画像特徴抽出技術を利用した加工プロセス決定システムの開発も始めた.また,生成した加工経路の確認,およびを本研究で開発したシステムの評価を行うための実験環境を構築し,基礎的な確認実験を行った.この研究に関する研究成果は4件が国際論文誌に掲載され,2件が国際会議で発表された.おおむね順調に進展しているといえる.次年度では,今までの研究成果を踏まえ,当初設定した目標を達成することが期待される.
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今後の研究の推進方策 |
24年度の研究計画は以下になる(1)CG画像分割技術を用いた仕上げ加工支援システムの開発自由曲面を仕上げ加工するため,様々な加工法を選択することが出来る.主に走査線加工,等高線加工,スキャロップ高さ一定加工などの加工法が挙げられる.ただし,各加工法に長所と短所があり,自由曲面全体に対して一つの加工法だけで,最適な加工パスを生成するのが困難である.本研究では,CG画像分割技術を用いて,自由曲面をいくつの領域に分割し,各領域に最適な加工法を適用することにより,最適な加工パスを生成できる仕上げ加工支援システムを開発する.(2)CG画像特徴抽出技術を利用した加工プロセス決定システムの開発最後に,CG画像特徴抽出技術を用いて,ユーザの代わりに三次元モデル形状を分析し,自動で加工プロセスを決定するシステムを開発する.三次元モデルに対して,曲率,法線,二面角等の幾何情報を計算することにより,平面や球面等の幾何学的な面を表す特徴領域を認識することが出来る.さらに特徴領域を組合せた形状を加工フィーチャとして抽出できる.各加工フィーチャに対応する最適な加工方法を適用することにより,加工プロセスの自動決定が可能になる.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度研究費の使用計画は以下になる.(1)部品購入費140万円--生成した加工パスを評価するため,レーザ測定器とデータ収取システムを購入することにより,加工した部品の表面精度と形状精度を評価するシステムを構築する.実際に加工実験を行うため,材料費と工具費として使用する. (2)旅費20万円--国際会議で研究成果発表するため,旅費として使用する.(3)その他の費用20万円--研究成果を論文に投稿するため,審査費として使用する.
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