提案手法であるマルチビームの立体的干渉を利用した三次元変調照明生成・制御手法に対して,3DFDTD(三次元時間領域差分)法によるシミュレーションを行った.その結果,複数レーザの空間的配置,入射角度,偏光条件を最適化することにより,三次元方向それぞれに高い空間周波数(ピッチが0.3マイクロメートル程度)を有する照明強度分布が1mm×1mm×1mmの空間領域に生成可能で,位相シフトによるナノオーダーの空間位置制御が可能であることが分かった. 更に,四光束干渉実験装置を構築し,ポリスチレンラテックス標準粒子を計測対象として三次元空間変調照明を三次元的に空間シフトさせた.その結果,理論およびシミュレーションに即した観察画像における周期的な輝度変調を確認した.変調コントラストについても実験的に検討した結果,四光束の光路長,強度,偏光を均等化することにより,コントラスト値0.9が実現することを確認した. 提案手法により三次元的な超解像を実現するためには,得られた信号情報と与えた照明の情報から観察資料の情報を再構成することが必要である.そのための再構成処理について検討した.照明分布のフーリエ解析の結果,提案手法による三次元変調照明は四光束干渉に基づいているため,空間周波数領域における再構成処理のためには1点(ピクセル)につき13の未知数(空間周波数スペクトル)を求めることが必要となることが分かった.実際に13種類の取得三次元画像を用いて,照明の高い空間周波数を再構成処理(三次元デコンボリューション)に反映させることにより,三次元的に超解像が実現することをフーリエ光学に基づいたシミュレーションによって確認した.
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