研究課題/領域番号 |
23760113
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中本 圭一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 招へい准教授 (90379339)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 機械工作・生産工学 / 精密部品加工 / 複合加工機 / 工程設計 / 工作機械 |
研究概要 |
加工方法に対する幾何学的な特徴領域(加工フィーチャ)を目標形状から認識して,NCプログラムを生成する複合加工機用工程設計支援システムを開発し,これに工作機械の物理的特性を工程設計へ反映させるため,3次元CADソフトウェア上で工作機械の主要部品をモデリングし,物理モデル構築の基礎とした.また,モデリングした工作機械を用いて解析ツールにより工作機械の機構シミュレーションを実現し,動的干渉チェックを実現して加工時間を正確に予測できるようにした.さらに,一般的な鉄・アルミ系材料の溝やポケット加工などを対象に発生する切削力などによる工作機械・工具の変形の再現を試みた.切削力の算出には,切削断面積を基に計算するいわゆる切削係数法を適用し,切削係数は基礎実験を行って実測した値を用いた.切削力や熱による工作機械構造の変形は,CADソフトウェアに付属する有限要素解析機能でも計算は可能であるが,計算時間は非常に長くなるため,別途開発している工作機械構造の静・動・熱剛性を高速に算出するシステムを利用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を遂行していく上での大きな障害もなく,大学院生の積極的な協力も得られたことから問題なく順調に進展した.
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今後の研究の推進方策 |
発生する切削力などによる工作機械・工具の振動の再現を試みる.切削力と機械構造(工具変位)の伝達関数は,購入予定のFFTアナライザで効率的に取得する.また,工具摩耗の進展や主軸・駆動軸の消費電力を考慮した加工コストや環境負荷の見積りを行う.主軸の消費電力については,想定した切削トルクによる増加分,駆動軸については機構シミュレーションから計算される各モータトルク・電流値と比較し,妥当性を検証する.そして,ここでまでで得られた加工時間,加工精度,加工コストの指標を,従来から開発してきた複合加工機用工程設計支援システムで発生する多くの判断時に活用する.目標形状の幾何学的情報を利用して,加工方法を特徴づける領域(加工フィーチャ)を認識すると,加工方法・手順に複数の候補が得られることが一般的であり,さらに複合加工機ではそれらの選択肢が必然的に増加する.これに対して,工作機械の物理的特性も考慮することで,より総合的な指標に基づいた工程設計が可能となり,加工時間の短縮や加工精度の向上が期待できる.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが,研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め,当初予定通りの計画を進めていく.
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